レンプクソウ科
Adoxaceae
レンプクソウ科は、なくなりました
旧分類体系である新エングラー体系やクロンキスト体系では、レンプクソウ科に属する日本の植物は、「レンプクソウ」ただ1種のみでした。 世界に目を向けても、あとは中国の固有種1種しかなく、合わせてたった2種から成る科でした。
しかし遺伝子解析による分子系統学が大きく発展し、植物の分類体系もこの手法を用いた分類が主流になりました。 この分類を推進する植物学者の団体が、被子植物系統グループ (Angiosperm Phylogeny Group) =APG であり、その分類体系は「APG体系」や「APG分類体系」などと呼ばれます。
そしてAPGでは、旧分類体系でスイカズラ科に含まれていた木本のガマズミ属やニワトコ属などを、レンプクソウ科に含めることにしました。 これでレンプクソウ科はたった2種からから、一気に150〜200種からなる、大きな科になりました。
しかしその後、また大きな変化がありました。 ガマズミ科( Viburnaceae )とレンプクソウ科( Adoxaceae )の学名は、それぞれ1820年と1839年に発表されていますが、より古い名称に優先権があるので、ガマズミ科を用いることが決まったのです(2017年7月の国際植物学学会)。 この結果、レンプクソウ科は消失したのです。
引用元:
「新しい植物分類体系」 伊藤元己・井鷺裕司 著 文一総合出版 2018.7.31初版第2刷