深山の針葉樹林下に咲く多年草。 高さは15〜20cm
ほどでした。 登山道脇の、広いとは言えない範囲に咲
いていました。 数は想像していたより多く、嬉しくな
りました。
見頃の時期は少し過ぎて、花によっては花柄子房が
膨らみ始めたり花被片の先端がやや変色し始めていま
したが、花の特徴を観察するには十分でした。 あと
1週間早く訪れたらベストだったかな?
2個の葉が茎頂に対生状につきます。 葉柄はありません。
広心形で長さ1.0〜2.5cm、表面には光沢があり、先端は短く
尖ります。 葉から上の茎は花茎で、暗紫色、腺毛が生えてい
ます。
萼片は長さ3〜4mmで基部から反り返るので花の正面から
は見えにくいです。 側花弁は萼片と同長。 唇弁は長さ約
6mmで先端は浅く2裂し、楕円形です。
唇弁の基部の左右に小さな楕円形の耳状裂片がつくのがこの
花の特徴です。 なかなかかわいいです。 クリオネを連想して
しまいました。
唇弁の中央に縦にやや暗い条が走っています。 その上が
艶があるように見えるのは、蜜がついているからでしょうか?
フタバランの仲間は唇弁に距がないのが特徴です。
花の色は黄緑色っぽいものが多かったですが、中には上
のように赤紫色をした個体もいました。 でも耳状裂片は
薄い黄色ですね。 あっ、唇弁の中央部が縦に光っていま
すね。 やはり密なのでしょうか? 蕊柱の基部から流れ
出しているようにも見えます。
茎の腺毛がよく見えます。 萼片は基部から強く反り返ります。 その萼片が少し隠しているので見えにくいのですが... 花柄子房はねじれていないように見えます。 多くのラン科の花は花柄子房を180度ねじらせて唇弁を下側に持って来ます。 しかしこの花は花柄子房がねじれていないストレート・タイプなのに、唇弁が下です。 もしかすると他のフタバラン属もそうなのかも知れない。
大きな図鑑でもラン科の花柄子房のねじれと唇弁の位置についてはあまり触れられていないので、もっと調べないといけないですね。
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今年も多くの「お初の花」を見ることができましたが、ミヤマフタバランもその一つでした。 以前から見たいと思っていましたが、なかなか自生地を特定できずにいました。 今回、北信州の花友のHさんに情報をいただき、ようやく見ることができました。 ここに感謝の意を表します。
和名の漢字表記はネット上の多くのサイトで「深山双葉蘭」とされていましたが、図鑑(山と渓谷社の図鑑「山渓ハンディ図鑑8 山に咲く花」)に従い「深山二葉蘭」としました。
2012.09.16 掲載
中途半端@兵庫 (日曜日, 16 9月 2012 18:43)
小さなミヤマフタバラン綺麗に撮れていますね。
フタバランとコフタバランは関西で見ています。関東に来て富士山5合目あたりでミヤマフタバランを初めて見ました。それもいっぱい。その群生の中に一本だけコフタバランを見つけ感動でした。先日曜日再度訪問してみました。コフタバランは見つけられませんでしたが、ミヤマフタバランの花穀が残っていました。その場所でシャクジョウソウが見られました。八月の中旬にアオスズランも3株ありましたが、先日は影も形もありませんでした。
hanasanpo (月曜日, 17 9月 2012 11:11)
富士山にもランがたくさんいる場所があるようですね。以前探索に行こうとしましたが、富士スバルラインが早朝から大渋滞で諦めたことがあります。