マヤランは、私たちの自宅から最も近くに咲く野生ランの一
つです。 歩いて25分くらいの距離。 こんなに近くで希少な
ランを見ることができるのは幸せなことです。 9月16・17日
の2日間、見に行きました。 2〜3年前に初めて見つけた場所
には痕跡もなくなっており、絶えてしまったかと心配しました
が200mほど離れた場所でもっと多くの株を発見しました。
何の根拠もないことを例えて「根も葉もない」と言いますが、マヤランには本当に根も葉もないのです。 普段は地下茎が地面に潜っているだけで、花の時期だけ地上に花茎を伸し、花を咲かせます。
葉が無いので光合成の能力はありません。 栄養分は地下茎の中にいる菌類から得ている、完全菌従属栄養植物です。 菌類といっても範囲が広いですが、その中の担子菌門、つまりキノコの仲間で、DNA解析でロウタケ属、イボタケ属、ベニタケ属やシロキクラゲ属などの菌であることが確認されています。
これらの菌類は、特定の樹木の根としか共生できません。 ということは、マヤランもこれら菌が好きな樹木がないと、生きられないということですね。 このあたりにはクヌギやコナラなどのブナ科の樹木やカバノキ科のイヌシデなどが多いので、これらの樹木と相性が良いのかも知れません。
高さは10〜30cmほど。 茎頂に2〜6個の花をまばら
につけます。 花は白色に近く、よく目立つ赤紫色の模様
があります。
このランは面白いことに夏と秋の2回、花を咲かせます。
このことはネットの情報で知っていたのですが、確かめた
のは今回が初めてです。 「夏咲き」は6月後半〜7月前半
で、一度花は終わり花茎も黒くなって枯れます。 その後
月の中旬前後にまた花茎を伸し「秋咲き」の花を咲かせま
す。 果実の様子などの調査が今後の課題です。
「夏咲き」は同じ場所でHiroが観察してるので、よろし
シュンラン属ということで... う〜ん、シュンランに少し
似てなくもないですかね。 本州の関東南部以西から沖縄県
に分布。 和名は最初に発見された神戸市の摩耶山にちなみ
ます。
萼片と側花弁はほぼ同長ですが、側花弁が少し短い。
蕊柱は長さ8〜10mm。 唇弁の中央に穴のようなものが
見えます。 距に至る入り口なのかな? 全体に細かな黒い
点々が見えますがこれは自生地の細かな土の粒子がついてし
まったものです。
これから花を咲かせる若い個体も多くありました。
2012.09.19 全面改訂し新規掲載
マヤランが掲載されたページのご案内
Dairy-Hiroダス
tanpopo (月曜日, 06 7月 2015 21:56)
初めまして。
九州大分在住のtanpopo(60代女性)と申します。
昨日、地元の自然観察会に参加しましてこのマヤランなるお花を初めて知りました。
そして、こんな生態系のランがある事も!
ガイドの先生が詳しく説明してくださったのですが・・・
マヤラン、タシロラン、コクラン、ソクシンラン・・・etc・・・??
歳のせいか聴いた情報が頭の中で錯綜するんです。
一応メモも取ったのに(笑)
帰宅して早速ネット検索しましたら一番にHiroKenさんのページに行き着きました。
まず、ページがステキで画像が何とキレイ!!
そして説明がかなり専門的なのに、それでいて解りやすい!
本当にステキなHPですネ!
私は若い頃は、いわゆる頂上を目指す登山などやりましたが、
最近は里山を中心に、のんびり歩きで森林セラピーを夫婦で楽しんでいます。
これから時々お邪魔させてくださいませ。
HiroKen (火曜日, 07 7月 2015 04:27)
tanpopoさん、いらっしゃいませ。
ホームページを褒めていただき、ありがとうございます。
このようなコメントをいただくと、大変励みになります。
ラン科の植物は、光合成をやめて菌類から栄養を略奪するようになったり、樹上で生活するようになったり、本当に多種多様で興味が尽きません。
里山の散策でもきっと多くの発見があると思いますので、ときには足元の(頭上も?)植物たちに目を向けてあげて下さい。
いつでも気軽に遊びに来てくださいね。