トキソウ

 

朱鷺草 ラン科 トキソウ属

Pogonia japonica Rchb.f.

準絶滅危惧(Near Threatened)

トキソウ (朱鷺草) ラン科  トキソウ属  2012.05.21 千葉県
トキソウ (朱鷺草) ラン科 トキソウ属  2012.05.21 千葉県

 

 金環日食を見た後に、湿原に立ち寄りました。 と言いますか、

金環日食は湿原近くの駐車場で見たのですけどね。 何度も訪れて

いる小さな湿原ですが、この時期は初めて。 トキソウがたくさん

咲くのを初めて知りました。

 

トキソウ 2012.05.21 千葉県  alt=5m
2012.05.21 千葉県  alt=5m

 

 トキソウは高原の花、というイメージを持っていたのですが、

この湿原の標高は、おそらく海抜5mほどで、間違いなく低地で

す。 トキソウは、低地から亜高山帯まで広い高度差の範囲で

生育できる植物なのですね。

 

 などと書きながら「山渓ハンディ図鑑 山に咲く花」をめく

ったら、載っていない。 「野に咲く花」の方に載っていまし

た。 山じゃなくて野を中心に咲く花だったんだね?

 

トキソウ 2012.05.21 千葉県
2012.05.21 千葉県

 

 以前高原で見たものよりも、かなり色が濃いと感じました。

名の由来は、花の色があのトキの翼の下面の、朱色がかった

濃いピンク色に似ているからだそうです。 トキは見たこと

がありませんが、こんなに美しい色の翼を持っているのでし

ょうか。

 

トキソウの花の構造(背萼片、側花弁、側萼片、唇弁、蕊柱)
トキソウの花の構造

 

 側萼片は、背萼片より幅がやや狭いです。 側花弁2個はかぶと状に重なります。 唇弁は長さ約1.5cmで、3裂します。 唇弁の側萼片は小さく、花の奥にあるのでなかなか見えません。 中裂片は大きく目立ち、紅紫色で、縁や内側に肉質の突起が密生するのが特徴です。

 

トキソウ 2012.05.21 千葉県
2012.05.21 千葉県

 

 このような群生がいたるところにありました。 これほど多くのトキソウを一度に見ることができたのは初めてです。 モデルさんがこんなにたくさんいたのに、どうもうまく撮れません。 近づくとみんなこちらに背を向けているように感じます。

 

 さて、以前見ることができたトキソウもいくつか掲載しておきましょう。

標高が高くなるほど色が薄くなるように見えますが、気のせい?

 

トキソウ 2009.07.01 群馬県 alt=1190m
2009.07.01 群馬県 alt=1190m
トキソウ 2009.07.12 栃木県 alt=1320m
2009.07.12 栃木県 alt=1320m
トキソウ 2011.07.09 長野県 alt=1420m
2011.07.09 長野県 alt=1420m

 

トキソウ

 

日当たりの良い酸性の湿地に生える高さ15〜30cmの多年草。 茎の中ほどに葉が1個つく。 葉は広針形で長さ約7cm、幅約8mmで、基部はなかば茎を抱く。 花は淡紅色で茎の先に1個つき横向きに咲き長さ約1.5cm。 苞は長さ2〜4cmの披針形で葉状。 背萼片は長さ1.5〜2.5cm、幅3〜5mm。 側萼片は幅がやや狭い。 側花弁2個はかぶと状に重なる。 唇弁は長さ約1.5cmで先端で3裂する。 中裂片は大きく、紅紫色で、縁や内側に肉質の突起が密生し目立つ。 距はない。 北海道〜九州に分布。 花期は5〜7月。湿地の開発と園芸・販売目的の採集で数を減らしている。(参考:山渓ハンディー図鑑 野に咲く花、レッドデータプランツ 他)

 

2012.05.28 掲載

2016.05.28 花の構造の写真と文を追加

ヤマトキソウ
ヤマトキソウ