タカネフタバラン

 

高嶺二葉蘭 ラン科 フタバラン属

Neottia puberula (Maxim.) Szlach.

タカネフタバラン  2014.08.31  長野県
 タカネフタバラン  2014.08.31  長野県

 

 亜高山帯の針葉樹林下に生える、高さ15〜20cmの多年草です。 細い茎の中央付近に、2個の葉を対生状につけます。 葉は腎心形で、主脈が白っぽく見えます。 葉の長さは15〜30mm、幅20〜30mmで、縁がやや波打っていました。 花は透明感のある淡緑色で、8〜9月にまばらに5〜10花つけます。 北海道と本州の関東地方北部・中部地方に分布します。

 

 

 写真は花の上部を中心に撮影したので、葉が茎の下部に

ついているように見えます。 実際は、中央付近について

います。 葉の光沢は、あまりありませんでした。

 

 

 長らく「高嶺の花」でなかなか姿を現してくれなかったのですが、

とうとう出会えました。 小さなクモがいました。 ということは、

この花を訪れる送粉者の昆虫ががいるということですね。

 

タカネフタバラン  花の正面
 タカネフタバラン  花の正面

 

 この透明感溢れる花が見たかった。 いかにも深山に咲くランの雰囲気をです。

 

 ほぼ真上を向いて立つのが背萼片。 その左右に線形の側花弁が斜め上向きに立ちます。 そして左右に腕を広げたように見える、側萼片。 側萼片の透明感が最も美しい。 唇弁は長さ6〜8mmで、先端が2裂し、縁には尾毛があります。 本当に細かい毛なので、見えにくいかも知れません。 唇弁の中央には縦に蜜腺のようなものが見えました。

 

 本種(とアオフタバラン)には、ミヤマフタバランヒメフタバランに見られるような、唇弁基部の耳状裂片(突起)がないことも特徴です。

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 花を側面から見ると、アオフタバランによく似ていると思いました。 茎には白っぽい短毛が密生しています。 苞は卵状披針形で長さ1〜2mm。 萼片は挟長楕円形、鈍頭で、長さは1〜2mmです。 唇弁は前方に突き出します。


 このランは花柄と子房の境界が明確です。 花柄にねじれは見られないようなので、本種は花柄をねじらずに唇弁を下側につける「ストレート・唇弁下側タイプ」のランです。 アオフタバランは不明瞭であったので暫定的に同じく「ストレート・唇弁下側タイプ」としたのですが、本種の結果からアオフタバランの判断は正しかったと思いました。


 

 ぜひとも逆光で観察したい花です。 花の下に小型のカメラを

差し込み撮影しました。 唇弁の先端が欠けてしまっていたのが、

少し残念。

 

 

 ずっと探していたのですが、「高嶺の花」でなかなか出会えない花でした。 今回は富士山の探索に続き、今年2回めの探索。 2日間の日程を組んだものの、初日は見つけられず、またダメかとうなだれました。 2日目の探索では、運良く自生地に詳しい方と出会うことができ、その方が私たちを案内して下さったのです。 ようやくタカネフタバランと初対面を果たすことができました。 ご厚意に本当に感謝です。

 

 この方とは以前この山系の別の場所でもお会いしていました。 2度あることは3度あると言いますから、またどこかでお会いできる日が楽しみです。

 

2015.01.18 掲載

 

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