憧れのコハクランを見ることができました!
所有する図鑑にはほとんど載っていないので、事前の情報収集はネットが主体でした。 多くの方が「目立たない」と書かれていました。 花が小さく、下向きに咲き、薄暗い針葉樹林下にいることが目立たない理由のようです。 そんな予備知識を得た上で探索に向かいました。
とても希少なランであるので、当てずっぽうで行っても私たちが探し出せる可能性ほぼゼロです。 今回は幸運にも自生地に関する詳細な情報をいただいた上での探索です。 大変貴重な情報を提供下さった静岡県のMさんに、この場を借りて感謝の意を表します。
険しくはありませんが私たちにとっては長い山道を、汗をかきかき登ります。私はだんだん遅れ始めましたが、Hiroは構わずずんずん先に行ってしまい、置いてけぼりにされます。 最近よくあるパターンです。
私より15分ほど先に目的地にたどり着いたHiroは、なかなか花を見つけられないので、ベソをかきそうになったそうです。 雨が振り始めそうだったので気持ちが焦ったのでしょう。 花ではなく葉を目印に探すことを思いつき、ようやく見つけることができたと。
後から到着した私も「そこにいるよ」と言われても、認識できるまでに数十秒かかりました。 他の植物の中に忍者のように紛れ込み、なかなか見つからない。 やはり目立たない植物でした。 それでも目が慣れると次々と見つかり、2〜3歩以内の範囲に8株を見つけることができました。 時期がやや早く、開花していたのは2株で、花も数個のみでしたが、とてもフレッシュな状態でした。
逆光気味に花を見ると、花被片は光に透けて琥珀色に見え、
とても美しい! よい名前をもらったと思います。命名者の
前川文夫博士は、きっと洒落たセンスの持ち主だったのでしょ
うね。
上の写真は花の内部をよく観察するために、リングライトを
使い撮影したものです。 唇弁や蕊柱がよく見えますが、花被
片の琥珀色を鑑賞するには、やはり逆光がよろしいようです。
唇弁は白地にあずき色の複雑な斑点が入っており、先端は
3裂します。 蕊柱は薄いみかん色です。 萼片はコケイラン
に似るのかと想像していましたが、ずいぶんと違いました。
コケイランはこのような色味をしていません。
花柄子房が180°ねじれて唇弁が下に来る、「標準タイプ」。
花つきはコケイランなどと比較するとずっと少ないです。
この個体では3個が開花(1個は向こう向き)、2個が蕾の
合計5個でした。
葉は根元に1個つき、狭披針形で硬く、長さ14〜16cm、
幅2.0〜2.5cmで、縦じわがあり主脈が白く特徴的です。
コハクランは長野県と山梨県のごく限定された地域にのみ
生育します(静岡県で発見したという報告もある)。 環境
省レッドリストの2007年見直し板では、絶滅危惧1B類から
1A類へと「格上げ」されてしまいました。 元々個体数が
少ないところに、植生の遷移による環境の変化・園芸用の採
集(盗掘)・森林伐採などによる生育地の減少などで、数を
減らしているそうです。ちなみに1A類の1つ上のランクは・・
「野生絶滅」です。 そんなことになってしまわないよう、
彼らの生き残れる環境がずっと残されることを切に祈ります。
2012.07.19掲載
BOGGY (木曜日, 19 7月 2012 07:36)
おはようございます。
苦労して出会っただけの希少価値のランですね。
私が以前、イチヨウランを散々探した時を思い出します。
目立たない点ではイチヨウラン以上ですね。
生涯見るチャンスが無さそうな花も、本の図鑑でみるよりも、実際にご覧になった人の感想込みで見られるのは、自分も感激したり嬉しくなったりします。
ありがとう。
hanasanpo (木曜日, 19 7月 2012 15:44)
BOGGYさん、ありがとうございます!
山歩きの疲れも、花に出会えれば不思議と吹き飛びます。
(出会えなければ倍増しますが!)
日本の山野には、本当に多種多様な植物がいるのですね。
とても楽しいので、これからも紹介し続けたいと思います。