今年(2012年)はクモキリソウが群生している
姿を見ることができました。 上の写真の場所では
約30株も群生していて、うれしくなりました。
いる所にはいるのですね〜。 きっともっとすごい
群生もどこかにあるのだろうな〜。
普通はこんな風にポツンと一人で立っていたり、
せいぜい5〜6株が固まって咲いている姿しか見た
ことがなかったのです。
山地の林内に生える高さ10〜20cmの多年草。
葉は茎の下部に2個つき、広卵形で長さ約10cm。
植物体全体から比較すると大きく、縁は細かく
波打ちます。 花が咲いていなくても、この葉が
目印になることがあります。
上の写真は初めて見ることができたクモキリソウです。 野反
湖の友人宅で、庭の竹を刈ったら出現したものです。 自宅の庭
でこんな野生ランが自然に咲くなんて、本当に羨ましいと思いま
した。
6〜8月に5〜15個の花をつけます。 ラン科の花はどれもユニ
ークですが、クモキリソウも御多分に漏れず、変わった形をして
います。 ちょっと昆虫を連想させますが、これも目的があって
のことだと思います。 名の由来は諸説ありますがどれも納得で
きるものではないので、ここには記載しないことにします。
花は淡緑色または黒褐色で、それぞれ「アオグモ」「クログモ」とも呼ばれるそうです。 黒褐色のものはまだお目にかかっていません。
花は斜め上向きに咲きます。 側花弁は線形、長さ6〜7mmで下垂し、緩やかに湾曲します。 背萼片と側萼片は縁が巻き込んで細い管状になっています。 背萼片は直立し、前方にやや湾曲します。 このように細い萼片や側花弁が昆虫の足を連想させるのでしょうね。 昆虫に似せているのは、クモキリソウの作戦なのかも知れません。 苞は卵状三角形で鋭頭、長さは1.0〜1.5mmです。
クモキリソウは花柄子房が180°ねじれて唇弁が下側になる「標準タイプ」です。
唇弁は他の花被片と比べるととても幅広いです。 ポリネーター
(送粉者)の昆虫に、「ここに着地してね」と主張しているかのよう
です。 形状はくさび状の倒卵形で、長さは5〜6mm。 先端は丸く
て尾状にならず、後方に反り返ります。
蕊柱は長さ3mm、低い稜があり、カマキリの頭状で上端に浅い翼が
つきます。 黄色く丸い部分は花粉塊です。 上の写真では唇弁の先端
部は反り返っているので見えません。 唇弁の中央に縦に浅い溝がある
のも特徴の一つです。
逆光で眺めた花も透明感があって美しいです。
図鑑やネットで「クモキリソウとジガバチソウは似ている」
と書かれていることがありますが... あまり似ているとは思え
ないのです。 花にははかなりの相違点があります。 両者の
違いをまとめてみたので、よろしかったらご覧ください。
クモキリソウとジガバチソウの比較 >>こちら
よく似た、シテンクモキリとは? >>こちら
このような感じの半日陰の林下にいることが多いです。
日本全土に分布します。 花期は6-8月。
2012.11.17 掲載
2012.11.19 花の構造の説明で側萼片と側花弁が逆になっていたため訂正。
おくちゃん (日曜日, 18 11月 2012 20:05)
クモキリソウはそのイメージから
見た感じでクモキリソウとただ呼んでいるだけでしたが
しっかりした説明を読むのは初めてです。
次回からはチャンと花を観察するようにしなくては・・・
詳しい説明をありがとうございました。
hanasanpo (日曜日, 18 11月 2012 22:41)
おくちゃん、いらっしゃい〜
最近は今までの勉強不足を反省し、よく調べてからページを作るようにしています。ラン科は特に好きなので、いろいろ調べるのは楽しいです。
葉だけを見て植物の名がわかってしまうおくちゃんには遠く及びませんが、頑張って精進していこうと思います。
今年の花シーズンももう終わりですが、来年もまたいろいろ教えてくださいね、よろしくお願いします!
ラン科シリーズはもう少し続きます。また遊びに来てくださいね。
あひる (月曜日, 19 11月 2012 09:38)
アレ、この花、この前コメント書かなかったかな?
って、思ったら、
全く別物やったです^_^;
パット見、キソチドリ。よく見ると違う。
そーなんですね。バッタじゃなくてカマキリだったんだ!
次はハチさんまで出てくるんですか!
ランの生存適応力、ただものじゃないですね。
hanasanpo (月曜日, 19 11月 2012 20:45)
あひるさん、こんばんは〜♫
ラン科の花は昆虫と一緒に進化してきたので(共生)、昆虫同様、その姿は千差万別! 楽しくて仕方ありません。
ハチさんももうすぐ登場ですが、その前にちっちゃな敦盛様が御成〜り〜ですよ。
luciano (火曜日, 11 12月 2012 07:00)
Hallo! I'm Italian and also here there is a very similar plant. I would like to know how tall are the plants that you have found. They seem taller than our but otherwise are identical! Search on Google Liparis loeselii subsp. nemoralis. Thanks.
hanasanpo (火曜日, 11 12月 2012 21:52)
Welcome!
You are the first visitor who gave me a comment from outside of Japan.
The height of the plant I found was about 10-20cm and it's same as Liparis loeselii, is it? I watched some photos of loeselii at Google, and surprised because they are so similar to kumokiri. I appreciate your valuable information!
天の川 (火曜日, 17 5月 2016 22:23)
クモキリ草、スズムシ草を何度か育てましたが、上手くいかずあきらめていたら今年になってクモキリ草が思わぬ所から芽を沢山出してきて、ビックリしています。
ゆき (水曜日, 28 6月 2017 20:15)
こんばんは、hiroさん、Kenさん、今年のクモキリ草の群生してる、場所なんですね、見つけた時の喜びも、伝わりましたよ。写真ありがとうございます。開花の順番的には、クモキリ草、ジガバチ草、鈴虫草なのでしょうか、シテンクモキリソウは、新種、クモキリ草と鈴虫草の中間のような、雰囲気ですね。それぞれの特徴と相違点のページも、みました、分かりやすく細やかな構造の特徴まで、書かれてて、勉強に、なりました。ありがとうございます。みじかなコクランも、クモキリ草の仲間、かわいいお花ですね。
Ken (水曜日, 28 6月 2017 23:33)
ゆきさん、こんばんは。クモキリソウは一人で立っていることもありますが、大勢で賑やかに咲いているときもあります。やはりたくさんいる方が嬉しいですね!
開花時期は、場所により標高により異なりますので、ちょっと順番はわからないのですが、6月下旬から7月中旬あたりが見頃になることが多いと思いますよ。丁度、今頃ですね! シテンクモキリは、おっしゃる通り、唇弁は暗紫色の斑紋がある以外はクモキリソウとそっくりで、萼片や側花弁はジガバチソウに似ていますね。 コクランは、千葉県では身近な植物ですか? 今まで良い状態の花になかなか出逢えていません。キレイに咲いている姿を見たいものです。
ゆき (月曜日, 03 7月 2017 21:22)
こんばんは、hiroさん、Kenさん、コクラン、千葉に、多いのかも、しれません、それも、市街地の近くの山で、見かけることが、よくあるので、身近な存在でした、雑木林や竹のまじる、えびねらんの住む環境と同じや杉の林でも、一番多いと感じたのは、ひとやまに、無数に、山の上から下にかけてでした。逆に、深い山では、あまりみないのも、不思議ですね。
Ken (火曜日, 04 7月 2017 00:01)
ゆきさん、こんばんは〜
スゴイ! 千葉には「コクラン山」があるのですね! とても身近なランなのですね!来年は千葉県に見に行こうかな! 里山を探せば見つけられるかな?