人に保護されていない、野生の状態のクマガイソウを
見ることはほとんど諦めかけていました。 しかし今回
貴重な情報をいただくことができ、初めて見ることがで
きました。 大感激、大感謝です。
やや薄暗い林下にいました。 地面はやや湿った柔らかい
土で、スギの枯れ葉が積もっていました。 花をつけていた
のは4株。 葉だけの個体もいくつかありました。 群生と
いうほどの個体数ではありません。 ここではない、さほど
遠くないと思われる場所でも目撃情報があるので、この近辺
でいくつか自生地が点在している可能性もあると思いました。
立派なクマガイソウですが、見頃の時期はやや過ぎた感が
あります。 1週間くらい前がベストだったのかな? 来年
以降見に来るとしたら、もう少し早めにしようと思いました。
上から見ると葉の様子がよくわかります。
大きな扇型の2個の葉がとても印象的です。
今回一番ワクワクしたのは、合萼片の観察でした。 ラン科の花は、1個の唇弁、2個の側花弁、1個の背萼片、そして2個の側萼片から成ります。 しかしアツモリソウ属の花は、2個の側萼片が合着して、1個の合萼片になっているのです!
2004年に保護されたクマガイソウを見たときはそのような知識はなかったので、合萼片の観察など思いもつかなかったし、同じ属のアツモリソウを発見したときも気持ちが動転してきちんと観察できませんでした。 今回はじっくり観察できました。
合萼片は花の背後を守るかのように、唇弁の後ろに垂れ下がっていました。 幅は背萼片の1.2倍ほど。 長さは背萼片より短く2/3ほど。 2個の側萼片が合着したことを示す筋などは特に見えませんでしたが、先端部がわずかに2裂しており、これが名残りなのだと思いました。
それにしても、なぜ側萼片を合着させる必要があった
のでしょうか? あるいは、進化の途中で、これから2
つに分かれるのか? ナゾですが、アツモリソウ属が持
つ、大きな袋状の唇弁と関係があるような気がします。
HiroKenの独断的仮説がクマガイソウの奥の間2で述べ
られています。
側花弁の基部の縁には、白っぽい毛が多数生えていました。 こういったことも、すべてに理由があるのでしょう。 唇弁の上部が網目状に透けてしまっています。 これを見て、開花してから時間が経過していると感じました。
花の構造については、クマガイソウのトップページや、クマガイソウの奥の間2に詳しく述べたので、そちらをご参照下さい。
栽培は非常に困難で、植木鉢では枯死し、地植えの条件も非常に難易度が高く、普通の愛好家では育てることはできません。 個体数が非常に少ない、貴重な花です。絶対に盗掘などの被害に合わないことを強く願います。
2013.05.04 掲載
BOGGY (日曜日, 05 5月 2013 08:08)
おはよう。
クマガイソウは本当に貴重な野草になりましたね。
見られただけでラッキーだったと思うようになりました。
鈴鹿の山には今も登山道の脇にありますが、ここはあまりにも有名で、人が多く、盗掘されにくくなってるので、毎年見られますが、いつも盗掘されてないかとハラハラしながら身に行きました。まだ有ると聞きました。
昨年、山友の一人に、親父さんが猟師だった人がいて、親父さんが見つけたというクマガイソウの大群落に案内して貰いました。
道の無い急傾斜の山を這うようにして一時間ほど登った所にありました。
斜面一杯に咲くクマガイソウに感動しました。近くにはエビネも咲いていました。
人に教えないという約束だし、山友さんの案内なしには行き着けない場所なので、ここは長く守られるのではと思います。
hanasanpo (日曜日, 05 5月 2013 08:33)
おはようございます!
到達するのが困難な場所か、人目が多い場所か、そんなところでしかクマガイソウが生きられなくなったのは本当にかわいそうです。ラン科に関しては開発による環境悪化や自然の環境遷移よりも、採集・盗掘による減少が大きいと思います。
いったいどうしたら盗掘という行為がなくなるのか? やはり罰則を強化し売買も含めて取り締まるしかないのでしょうか。
BOGGYさんが行かれた素晴らしい自生地が、いつまでも残ることを願います。