今年(2014年)はキンランの「当たり年」なのかも知れません。 キンランは、環境省が絶滅危惧ll類に指定している植物です。 このランクの植物は、個体数が少なく、自生する場所も限定されます。 見るためには、それなりの時間と交通費をかけて自生地まで足を運ぶ必要があります。
しかし私たちがよく訪れる、東京都西部のいろいろな緑地では、毎年簡単にキンランを見ることができました。 緑地内での場所はある程度限定されるものの、時期を外さなければ、ブラブラと歩いているだけで出会うことができるのです。 絶滅危惧ll類に指定された植物の中では、最も身近な植物と思っていました。
そんなキンランですが、今年(2014年)は訪れた場所のどこでも非常に数が多かったのです。 しかも花つきが良く、大きく立派な株が多い。 このため「キンランの当たり年では?」と感じたのです。
毎年見ることができるキンランですが... 今年は大きな株が多い気がします。
例年は3〜5個しか花をつけていない株も珍しくなかったで
すが、今年の株は10個以上花をつけている株も珍しくない!
遠目には枯れた草に見えたこの植物は、近づいてよく観察すると
キンランでした! 純白ではありませんが、葉緑素が抜け全体が白
っぽいクリーム色。 アルビノのキンランであると思います。 花
だけではなく、葉や茎まで白いアルビノキンランの存在は、昨年花
友さんから写真をいただき知っていましたが、自分の目でみるのは
初めてでした。 見つけたHiroの大手柄です。
葉に触ってみると瑞々しく、この植物が生きているのがわかり
ます。 残念ながら花はつけていませんでした。 なぜ、アルビ
ノが発生するのかはわかりません。 ウイスルなどの感染による
影響なのか、あるいは自ら光合成を止め、共生菌だけに頼るよう
に進化したのか? もし花を咲かせるなら、ぜひ見てみたいもの
です。
このようなキンランが発生する確率は高くないと思います。私
たちにも見つけられたということは、やはり今年は「当たり年」
なのかも知れません。
2日後、府中市の緑地では更に多くのキンランを見ることができました。
散策路脇のそこかしこで、立派な株を見ることができました。
林の中に点々と見える黄色い花は、すべてキンランです。
これだけたくさんいると、「絶滅危惧種なんだよ」
と説明しても疑いの目を向けられてしまいそうです。
希少種であることを忘れてしまいそうになるほど数が多い。
花色の淡い一群がいました。 手前の通常の
花と比べると、明らかに花色が淡いと思います。
この株の見頃のピークはやや過ぎていましたが、まだまだ
花は元気。 この花色は花が古くなって色が褪せたためでは
なさそうです。 個体差の範囲なのでしょうか?
角度や光線の具合を変えてみても、やはり淡い花色です。
緑地内には他にいくつも淡い花色のキンランが見受けられ
ましたが、この一群が最も花つきが良い個体が集まってい
ました。
白花と言ってよいのではと思われるほど、花が白っぽい個体もいました。 小さく、開花前の花を1つしかつけていません。 ギンランと間違えそうですが、キンランです。 上の右の写真はピンボケの失敗写真ですが、キンラン特有の黄色にみかん色の条が入った唇弁が見えるので掲載しました。
2014.05.06追記 上の白花のようなキンランのその後の様子を見に行ったら、株ごと跡形もなくなっていました。 この2日間の間に誘拐されてしまったようです。地元のボランティアの方々を始め、みんなで守っている緑地なのに、本当に心ない人がいるものです。 まだそのような行為に及ぶ人がいるとは、悲しいことです。
今年はあまりにキンランが多いので、Hiroが『大地震の予兆では? 植物たちが子孫を残そうと、必死に花を咲かせたのでは。 だから花色が薄い子たちができてしまったのでは?』と言います。 「まさか。それはないでしょう」と応じましたが、その翌朝、都心部で震度5弱を記録するの地震が発生しました。 2011年の大震災以来の大きさの揺れです。 イヤですね〜、地震とは無関係の事であってほしい!
2014.05.06 掲載