白く、とてもエレガントな花をつけます。 野反湖では希少種
ではあるものの、簡単に見ることができました。 このため他の
場所でも簡単に見つけられるのだろうと思っていましたが、あち
こちの山を歩いてもまだ一度も出会っていません。花期は7-8月。
山地の日当たりのよい、岩石混じりの草地に生えます。 高さ
は10〜15cmで、基部に長楕円形の葉を2個つけます。 その姿
からツバメオモトと間違える人がいるそうですが、まったくの別
種で、生育する場所も異なります。
山の上に生えるので尾上蘭の名がついたそうです。 上の
写真では近くにユリ科のノギランの葉がたくさん見えます。
唇弁の奥のややくすんだみかん色のW字の模様が、この
花のチャームポイントです。W字の奥は薄い黄色になって、
とてもお洒落な花です。
図鑑には唇弁がわずかに3裂するとありますが、上の個
体ではそのようには見えません。 花は全体に丸っこく、
優しい印象を受けました。
こちらの花は花被が全体に細身で、とがった感じ。
唇弁の先端も、わずかに3裂している様子が見えます。
同じ種の花でも個性があるのですね。
オノエランの花の構造です。 側花弁は萼片とほぼ同長で、
長さは約8mm。 葯は広い葯隔により2つに離れています。
その下が蕊柱になるのですが、この写真では不明瞭なため指
し示していません。
お洒落なW字型の模様は、ポリネーター(送粉者)に「こ
のすぐ奥に甘い蜜がありますよ!」とサインを送るためのも
のでしょうか。 奥にポツンとある暗褐色の点は、距への入
り口です。 上の写真では1個の横長の穴に見えますが、実
際には小さな2個の穴が開いているようです。
上の左の写真は2005年に初めてオノエランに出会ったときのものです。 まだ幼生でした。 右の写真は一部を拡大し、距を示しました。 距は太く楕円形で、長さ3〜4mm、基部はくびれます。 花はほぼ同じ方向に向いて咲くので、開花後は正面から距が見えにくくなります。
さて、子房のねじれの有無ですが、オノエランを撮影した当時は、まだラン科の距のねじれに興味を持ってなく、距に注目して撮影していませんでした。 しかし上の写真などを見ると、どうもねじれはなさそうです。 明確な証拠写真がなく少し不安ですが、ここではねじれ無しの「ストレート・唇弁下側タイプ」とします。 来年以降、ぜひ詳細を確かめてみたいと思います。
2012.11.09 掲載
2014.07.02 茎葉を持つ個体の写真を追加
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2007年6月23-24日 初夏の野反湖 (その2) 2/4
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