オオバノトンボソウ

(ノヤマノトンボソウ、ノヤマトンボ)

 

大葉の蜻蛉草 ラン科 ツレサギソウ属

Platanthera minor (Miq.) Rchb.f.

 オオバノトンボソウ (大葉の蜻蛉草) ラン科 ツレサギソウ属  2013.07.07 東京都府中市
 オオバノトンボソウ (大葉の蜻蛉草) ラン科 ツレサギソウ属      2013.07.07 東京都府中市

 

 丘陵地の林内に生える多年草です。 高さは

25〜60cm。 花期は6〜7月。

 

 自宅から遠くない自然公園に、わずかながら

オオバノトンボソウがいることを知ってから数

年経ちますが、なかなかよい時期に行けず花を

見ることができないでいました。 今年こそは

と、折を見ては様子を見に行きましたが、花期

がわからず何度も足を運ぶことになってしまい

ました。 しかしそのおかげで成長過程を観察

することができました。

 

オオバノトンボソウ  2013.05.12
 2013.05.12

 

 一番上の個体の幼生期です。 根元の2個の

葉が大きく展開。  葉の基部は茎を抱き、葉の

反対側で閉じる感じ。 茎はやっと立ち上がり

始め、高さ8cmほど。

 

オオバノトンボソウ 2013.06.08
 2013.06.08

約1ヶ月後。茎の高さは20cm近くになりました。 花はまだ固い蕾。 葉は互生します。

 

オオバノトンボソウ 2013.06.08
 2013.06.08

葉の大きさは5/21からあまり変わっていないように見えました。 右手前の株は今年は茎を伸しませんでした。


 

6月23日。 茎の高さは30cmほどになりました(左)。 花はまだ開花していませんが、距など明確に判別できる状態になりました(上)。


 

 この日、何人かの女性たちがしゃがみこんで草刈りをしていました。 聞けば近隣の主婦の方たちで、希少な植物を守るためにボランティアでササ刈りをしているそうです(ここには他にイチヤクソウ、ギンラン、キンラン、ムサシノキスゲなども咲きます)。 暑い中、本当にご苦労様です。 ササに埋もれてしまえば花も咲かなくなるでしょう。

 

 このような方たちの奉仕活動の努力があって、花を見ることができるのだと思いました。 思わずお礼が言いたくなりそう伝えると、「あら、そんなこと言ってもらえると嬉しいねえ! やり甲斐が出てくるよ。 また見に来てね!」と言われました。 こちらも嬉しくなります。 その後みなさんと30分近くも立ち話ししお邪魔をしてしまいましたが、オニノヤガラも咲くことを教えてくれ、思わぬ収穫でした。 ここに限らず、やはり現地の方のお話を聞くことは重要です。

 

 2013.07.07
 2013.07.07

 

 現役サラリーマンは平日に花さんぽできないのが

辛い。 七夕にようやく開花した花を見ることがで

きました。 見頃はやや過ぎてしまい傷み始めてい

ましたが、観察するには十分でした。

 

 小さく緑色で、目立たない花ではあります。花は

あっちこっち、好き勝手な向きに咲いていました。

10〜25花つくそうですが、この株では14花つけて

いました。

 

 茎には翼状に発達した稜がある
 茎には翼状に発達した稜がある
オオバノトンボソウ 左の写真の枠内の拡大
 左の写真の枠内の拡大

 

 葉は根元付近の2〜3個が大きく長楕円形で、上の葉は小さく、

披針形になっていました。 茎には明確な稜があります。 特

に茎の中央部付近の稜は翼状に発達していいるのが特徴です。

また茎葉裏面の主脈がそのまま稜の翼につながっているのも、

目立つ特徴です(上の右の写真、矢印部)。

 

オオバノトンボソウの花の側面
 花の側面

 

 花の側面です。 広卵形の背萼片と狭長楕円形の側花弁は、

かぶと状に重なり蕊柱を囲みます(蕊柱は写真では見えませ

ん)。 狭長楕円形の側萼片は斜め後方に反り返るほど開き

ます。

 

 唇弁は広線形で長さ6〜8mm、後方に強く反り返ります。

距はスッと後方に伸び、長さ12〜15mm、緩やかに下垂し、

鈍頭です。 花柄子房よりやや長い。

 

 苞は花柄子房と同長か、やや短く見えましたが個体差が

あるので参考に留めて下さい。 ただ、似た花が多いツレ

サギソウ属の識別には、苞の長さが重要なポイントになる

場合があります。

 

 花柄子房には明確な「ねじれ」が観察出来ました。 オオ

バノトンボソウは花柄子房が180°ねじれて唇弁が下側になる、

「標準タイプ」のランです。

 

 

 花の正面です。 フレッシュな花の葯は白っぽい黄緑色

ですが、この花はやや時間が経っているので褐色になって

しまっています。 中央部に距への入口が見えます。

 

 唇弁は他の花被片よりやや白っぽい。 短く見えますが、

後方に反り返って途中までしか見えないためです。

 

オオバノトンボソウ 2013.07.07

 

見たかった花をようやく見ることができて、よかった

です。 この後はフウランを見に鎌倉へ向かいました。

 

2013.08.31 掲載

 

コメント: 6 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    まりこ (水曜日, 27 5月 2020 22:28)

    家近くの 裏山に あちこちに 今 葉だけ 見ました。
    花が 咲く頃 また 見に出かけたいです。
    キンラン ギンラン フデリンドウ うらしまそう とか いろいろ 咲き 大事に したいです。

  • #2

    Ken (木曜日, 28 5月 2020 01:03)

    こちらでもオオバノトンボソウの若い株がたくさん見つかっていますので、もしかすると今年はオオバノトンボソウの当たり年?かも知れません。いろいろな花が咲く裏山は素晴らしいですね。そんな環境を大切にしたいものですね。

  • #3

    kuki (土曜日, 30 5月 2020 11:01)

    近在の自然公園に結構な数を見ました。
    未だ葉だけですが花が咲くのが楽しみです。
    どんな花が咲くのか分からなく調べて初めて可憐さにきずきました。
    有難うございました

  • #4

    Ken (土曜日, 30 5月 2020 13:26)

    オオバノトンボソウは葉に特徴があるので、比較的見つけやすいと思います。花が楽しみですね。たくさん見つかったその自然公園は、環境が良いのでしょう。大切にしたいですね。

  • #5

    薫る風 (火曜日, 07 7月 2020 22:30)

    お久しぶりです。
    近くの段丘の松林で、オオバノトンボソウ、咲いた花に会えました!
    昨年は、蕾期と咲き終わりしか見られなかったので、今年は今日かな、と行ってみたら、咲き始めたところでした。

  • #6

    Hiro (水曜日, 08 7月 2020 09:56)

    薫る風さん
    お久しぶりですね!
    元気に山に行かれていますか。
    オオバノトンボソウ開花したものを見られて良かったですね☆
    里山などで見られる花ですが、出逢うと嬉しいものです。
    このラン科は葉に特徴があるので見分けやすいなと思っています。
    大雨が続いておりますので、ご注意なさって下さい。

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