アオキランを見ることができました! 少し古いですが2000年の環境省のレッドデータブックでは現存個体数が50未満とされた、超希少種です。 ネットで検索すると10〜20株も固まって咲いている写真も見られるので、実際にはもう少しいるのかも知れません。
落葉樹林内に生える、葉緑素を持たない、菌従属栄養植物です。 和名は発見者の一人、青木信光氏の名によります。 花期は8〜9月。
時期は少し遅かったようです。 最初に見つけた株は痛みがひどく、ここに掲載できるような状態ではありませんでした。 今年は夏が異常に暑かったので、花期がズレてしまったのかな? がっかりしましたが、「上の方なら咲き出しが遅いだろうから、まだ咲き残っているかも!」と思い、諦めずに登って丹念に探したら、まだ状態のよい株が3株見つかりました! うれしい〜!
高さは10〜20cm。 遠目にはとても
地味な色合いの植物で、目立ちません。
萼片、側花弁は披針形で長さ約10mm。 側萼片がキラキラ輝いて美しい! 側花弁の色合いはちょっとコハクランを連想させました。 背萼片のすぐ下にある淡黄色の部分は蕊柱の葯です。 その下の穴は距に続きます。 唇弁は広卵形で全縁、両面に紅紫色の斑紋があります。 この斑紋を見て、カモメランを思い出しました。 唇弁の縁は内側に巻き込んでいました。 この写真のみ、リングライトを使った撮影です。
距が金色っぽく輝いて見え、美しい。 距はわずかに前方に曲がります。 先端は太く、やや2裂しているのですが、見えますか? クリックして拡大してみてください。 この写真では唇弁の裏側にも斑紋があるのがわかります。
花柄子房はねじれていないので、このランは「ストレート・唇弁下側タイプ」ですね。(多くのランは花柄子房が180°ねじれて唇弁を下側にします)
冒頭にあるように、本種は絶滅危惧1A類という最悪のランクに位置付けられています。 まさに「絶滅の半歩手間」の状態と言えます。 この日本からこの植物が消えてなくなってしまわないことを、切に願わずにはいられません。
アオキランを見ることができたので、図鑑に載っているトラキチラン属3種をすべて見ることができました。 面白いことにみんな発見者の名がついているのですね。 簡単に3種をまとめてみました。 詳細はそれぞれの花のページをご覧ください。
種名 発見者氏名 生育環境
アオキラン 青木信光 落葉樹林内
タシロラン 田代善太郎 常緑樹林内
トラキチラン 神山虎吉 針葉樹林内
アオキランは福島県の花友のYさんにいただいた情報により、見ることができました。 心より感謝致します。 どうもありがとうございました。
2012.09.27 掲載
BOGGY (木曜日, 27 9月 2012 16:55)
今日は。
多分この目では見られない貴重なラン、見せて貰えて嬉しいです。
ランというのは植物の中でも、誕生の歴史はきっと古いもののような気がしますが、どうなのでしょうね。
hanasanpo (木曜日, 27 9月 2012 21:44)
BOGGYさん、こんばんは!
数は少ないようですが、私たちにも見つけられましたので、ぜひ探してみて下さい。
ランの歴史はきっと古いと思いますよ。全世界で730属17000種があるとも言われています。
非常に多様な進化を遂げ、今も急速に進化していると考えられているそうです。
昆虫との「共進化」を示す種もあり、私は子房がねじれて唇弁を下に持ってきたのは、共進化が関係していると想像しています。
本当に興味が尽きない植物ですね!