ヨゴレネコノメは何度も見たことがありますが、一人でぽつんと立っていることが多く、なかなか群れた姿を見ることができていませんでした。 今回高尾山の山麓で、少しまとまった数で咲いている姿を見ることができました。
黄色い包葉のグラデーションと、渋い色の茎葉との対比が美しい花です。 ユリワサビやニリンソウ、ミヤマカタバミなどと一緒に咲いていました。 ようやく花たちが出揃い始めた感じです。 これから花観察が忙しくなります。
ヨゴレネコノメは好きな花のひとつです。 なぜ好きになったのか?
考えてみました。
・明るい色の花もいいですが、地味系統の渋い色の花も好き。
・花には失礼だが覚えやすい名前のお陰で、花に興味を持ちだしたころ
から知っていた。 比較的楽に見ることができて、識別もし易いので
親しみが持てた。 山で見かけると「あ、ヨゴレネコノメが咲いてる」
と言える。
・識別し易い一方、葉の色や模様に変異が多く、飽きさせない。
こんなところでしょうか。
ヨゴレネコノメの名の由来は、葉が褐色を帯びて、灰白色の斑紋が汚れているように見えるところから来たようです。 花弁はなく、薄褐色の小さな萼片だけです。 薄い黄色で目立つ部分は包葉です。
やや暗い沢筋にいたヨゴレネコノメです。 とても渋い葉の色で大変気に入りました。 保護色のようになっていて周りの石に溶け込んでおり、危うく踏んでしまうところでした。
ヨゴレネコノメは、イワボタンの変種とされています。 イワボタンの葉は本種ほど褐色になりません。 また本種の葯の色は暗紅色なのに対し、イワボタンは黄色なので識別できます。 但し、ヨゴレネコノメも開花後は黄色い花粉を出すので、この点注意が必要かも知れません。 なにせ小さな花なので見誤る可能性も あります。 参考までイワボタンの写真も掲載します。
むしろ、葯の色が暗紫色のニッコウネコノメとの
識別の方が難しそうです。 参考までニッコウネコ
ノメの写真も掲載します。
ヨゴレネコノメ
本州(関東以西)四国、九州の主に太平洋側に分布。山地谷沿いの湿地に生える多年草。萼裂片は暗紫褐色~緑色で直立し先は鈍形。雄しべは4-8個で萼と同じかやや長い。葯は暗紅色、花粉は黄色。茎葉は対生し長楕円形で、褐色を帯び灰白色の斑紋がある。
2012.04.17 掲載
2012.05.03 写真と文を追加