花の形が「人」の字に似ていることが、「人字草」の名の由来です。 山地のやや湿った岩場に生える、高さ10〜35cmの多年草。 本州の関東地方以西〜九州に分布し、花期は9〜11月です。
根茎は短く、直立または斜上し、その頂に根出葉を束生します。 根出葉は長さ2〜15cmの柄があります。
根出葉は円腎形〜円形で、7〜11中裂します(稀に浅裂、または深裂)。 長さは2〜11cm、幅は3〜16cmで、基部は心形です。 葉柄とともに全体にまばらに毛が生えます。
花茎には白っぽい毛が生えますが、特に基部付近の毛が長く、目立ちました(左上)。 基部付近の毛の長さは、茎の直径より長いものがありました(右上)。
花序は集散形で、多数の白い小花をやや密につけます。 たくさん咲いていると賑やかな印象です。 花は、ほぼ同じ方向を向いて咲いていました。
う〜ん、確かに人の字に似ていました! 下側の2弁は長さ12〜25mm。
上側には3弁があり、長さは約4mm。 トランプのスペードのような形をしています。 基部に黄色い班があることと、明確な爪があることが本種の特徴です。 爪とは、花弁基部の細くなった部分です。
雄しべは10個で、放射状に伸びます。 裂開直前の葯は薄い橙黄色。 中央の黄色く丸っこい部分は花盤で、子房の下半分を包みます。 そこから下側に突き出しているのが柱頭で、1個に見えますが、2個あります(後の写真でよく見えます)。
仲間の植物と比べてみたくなったので、イズノシマダイモンジソウとユキノシタの写真を持って来ました。 イズノシマダイモンジソウは、ダイモンジソウによく似た花ですが、確かに「大」の字に見えます。 ユキノシタは、下側の花弁が太く、何かの文字に例えたくはならないですね。 でも、ピンク色が美しい花です。
上の2種とも、上側の3弁の爪はほとんど目立ちません。 ジンジソウとの識別ポイントになり得そうです。
ジンジソウに戻ります。 別の個体です。 こちらはやや見頃の時期を過ぎており、ほとんどの葯が裂開しています。 柱頭が2個ある様子がわかります。
花の側面です。 下側の花弁は、緩やかに前方に反り出しています。 花柄は長さ2〜15mm。 萼片とともに、微細な腺毛があります。 萼片は花期には反曲しています。 花が終わりに近づき、2個の柱頭が長く突き出している様子がわかります。
花の背面です。 萼裂片は長卵形で、長さは1〜5mm。
2014年に初めて見ることができた花の一つでした。 今回はHiroの事前リサーチのおかげで、無事初対面を果たすことができました。
2015.01.25 掲載
ゆき (月曜日, 01 6月 2015 22:30)
こんばんは、HIROさん、kenさん、早速、伊豆の島大文字草の写真、拝見しましたよ、千葉県南部も、自生地に、なるのですね、白花が、印象的で、秋に、再び、開花を確認してみたいです、道路沿いの薄暗い壁に、数百にも、およぶ、大群生した、ほんの10メートル足らずの岩肌に。那須でみた、赤い花の大文字草と、種類が、違うのも、また、魅力的ですね、ジンジソウや大文字草や伊豆の島大文字草の比較、楽しいですね。白花は、清楚で、可憐なイメージです。
HiroKenのKen (火曜日, 02 6月 2015 02:23)
ダイモンジソウの仲間は、花は小さいですが、近づいてみると皆美しいですね!
個性豊かな花たちをこれからも観察していきたいと思います。
金子鶴代 (金曜日, 26 10月 2018 20:42)
アップで写してあるととても区別がしやすいですね。また形がとても面白く興味深いですね。
HiroKen (金曜日, 26 10月 2018 21:38)
コメントをありがとうございます。他のユキノシタ属のページもご覧になってみて下さい。