山地の沢沿いの湿った場所に咲いていました。 地味な
花が多いネコノメソウ属の中では珍しく、白い花をつけま
す。 花弁に見えるのは、実は萼裂片です。 白い萼裂片
と暗紅色の葯のコントラストが美しい、小さな花です。
されています。 ハナネコノメは何度も見てい
るのですが、本種は全体の印象としては花が小
さめで、葯の色は暗いと感じました。 しかし
葯の色は開花後から少し変化するのでなんとも
言えません。
.
図鑑では「ハナネコノメより白軟毛が多い」とありますが、
明確にはわかりませんでした。 また「萼裂片の先端はハナ
ネコノメはやや丸いのに対し、本種はとがる」とありますが、
ハナネコノメの写真を見直したところ、けっこうとがるもの
もあり、とがる/とがらない は主観も入るので、花の形状
だけで識別するのは難しいと感じました。
しかし、一つ明確な識別方法を見つけました。 花粉の色
が違うのです。 シロバナネコノメソウの花粉は白色ですが、
ハナネコノメの花粉は黄色です。 花粉を出している時期に
しか使えない方法ですが、迷うこと無く識別できる方法であ
ると思います。
その他、上の写真のようにシロバナネコノメソウの葉には
白い髭状の毛がツンツン出ていますが、ハナネコノメにはあ
まり見られない特徴です。
シロバナネコノメソウとハナネコノメの花粉の色の違いは、写真を見比べていて気づいたものです。 よく似た両種ですので、識別に困っている方のお役に立てばと思い、掲載しました。 ところがこのことが、意外にも、研究者の方の調査のお役に立てていたことがわかりました! 詳細は、こちらのページへ>> (2017.02.19 追記)
シロバナネコノメソウ
本州(近畿地方・中国地方)・四国・九州に分布する。谷沿いの湿地に生える。 花後走出枝を伸ばす。 全体に白軟毛が多い。 葉は対生し扇型で長さ1cm以下、先端に半円状鋸歯が数個ある。 花茎は高さ5〜10cm。 萼裂片は白色で4枚あり、花後緑化する。 雄しべは8個で葯は暗紅色。花期は4〜5月。 ハナネコノメの母種。
2010.12.19 掲載
2013.04.13 改定
かのん (月曜日, 20 12月 2010 19:58)
あの可愛いハナネコノメの母種なんですね。
西日本に自生ですか。
普通に見たら、ハナネコノメと思ってしまいます。
キバナハナネコノメというのもあるのですね。
ネコノメソウの名前はややこしいですね。
思わず、シロバナハナネコノメとか、キバナネコノメソウとか言ってしまいそうです^^
ちゃんとした部ログとかでも、ハナネコノメソウなんて書いている方、結構いますよね^^
hanasanpo (月曜日, 20 12月 2010 22:18)
かのんさん、こんばんは!
おっしゃる通り、ネコノメソウの仲間の名前はわかりにくいですね!とても信頼しているいくつかのサイトでも、シロバナネコノメソウとシロバナネコノメがあったりするので、もしかして別名としてどちらでも正しいのかな?
ネコノメソウの花は地味系で渋いものが多いですが、そこがまたいいと思っています。ヨゴレネコノメとか。
katsu (日曜日, 19 2月 2017 19:15)
こんばんは~
シロバナネコノメソウは鈴鹿山脈の北部と南部の2ヶ所と岐阜県の西濃で見ていますが、ハナネコノメは未見で自分の中で区別が曖昧でした・・・
流石お二人の観察力凄いですね!
来月半ばに鈴鹿山脈南部のシロバナネコノメソウを見に行く予定を立てていました、タイミング良い論文のご紹介有難うございます。
HiroKenのKen (日曜日, 19 2月 2017 23:51)
katsuさん、こんばんは。
情報が少しでもご参考になりそうで幸いです。
この論文の研究は継続され、両種の遺伝子レベルでの相違点も明らかになりつつあるそうです。その内容は昨年3月の日本植物分類学会 第15回大会で、織田先生らが「日本産ネコノメソウ属Pilosa 列の分子系統 ―特にシロバナネコノメソウ種内分類群の関係について―」というタイトルで発表されていおり、興味津々なのですが、まだ論文を入手できていません。
鈴鹿山脈でたくさんシロバナネコノメソウが見られるとよいですね!