同じ属のヤマルリソウはあちこちで見たことがありましたが、ルリソウは一度も見たことがありませんでした。 2010年の4月に、花ママ・花パパさんご夫妻に福島市の自生地を案内していただき、初めて見ることができました。 しかし残念ながらまだ時期が早く、ほとんど花をつけていませんでした。 どうしても花が咲く姿を見たかったので、2週間後に再訪し、このような姿を見ることができました。
植物体全体から受ける印象は、ヤマルリソウが地面近くを這うようなベタっとした感じであるのに対し、ルリソウは茎も葉も地面から離れてすっと立ち上がり、より立体的な印象です。 花の色もルリソウの方がずっと濃いですね。
ルリソウ属にはヤマルリソウやエチゴルリソウなどよく似た仲間がいて、根生葉と茎葉の大きさの比較や、花序の分岐の有無などで識別するのですが、個体差もありなかなか初心者には識別が難しいようです。 たとえば一部の図鑑ではルリソウは花序が2つに分岐し、ヤマルリソウは分岐しない、とされていますが、実際は分岐しないルリソウや分岐するヤマルリソウも見つかっているようです。
初めて見ることができたときには、果実は観察できなかったのですが、6年後に同じ地を訪れ、運良く観察することができました。
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下の写真は、ルリソウの果実です。 果実は4つの分果になります。 分果を下から見るとドーナッツ状になっていますが、それぞれの縁に棘状の突起があるのが特徴です。 エチゴルリソウやヤマルリソウの果実には、このような棘状の突起はないので、ルリソウの大きな特徴と言えます。
分果の一部を思いっきり拡大してみました。 刺状の突起は単純な形ではなく、一つひとつに更に微細な鋭角の突起があることがわかりました。
何とも言えない、いい色ですね。 青〜紫色系統はデジカメが苦手とする色ですが、記憶にある色とかなり近いと思います。 蕾の内部は紫色に見えます。 開花するとこのような青になっていくのでしょう。
花の中心部に白いかわいいものがついています。 図鑑ではこれを「付属体」と呼んでいますが、このページの下に示した参考サイトの「石川の植物」では筆者の方が花の断面写真を撮り、花冠の一部が突き出してできているものであることを示されています。 花冠の一部なので「副花冠」と呼ぶのが相応しいと。 断面写真を見ると納得させられます。
4月25日に訪れたときは、こんな状態でした。わずかに咲き
出した気の早い花は、葉の中に埋もれているかのようです。
ルリソウ
北海道、本州(中部地方以北)の林内生える多年草。 茎は高さ30〜40cmで、開出毛が多い。 葉は倒披針形で長さ7〜15cmで、細毛がある。 花序は頂生し、花冠は直径1.0〜1.5cmで濃い藍色、稀に白色。 花期は4〜6月。
参考サイト情報
(2014.05.07 最終閲覧)
・富山県及び北陸地方西部における日本海要素植物「エチゴルリソウ」の再検討
北陸地方を中心に非常に詳しく調査された、石澤岩央さんのレポートです。
http://sizenjukunokai.web.fc2.com/H19nokiroku/rurisouzoku.htm
2011.02.11 掲載
2017.02.03 果実に関する写真と文を追加、その他一部小修正。
ペン (金曜日, 11 2月 2011 22:53)
HiroKenさん
きれいなルリソウですね。私はまだ見たことがないのですが、絶妙の色合いのように感じます。経験的にこのタイプの色を撮すのはとても難しいと感じているのですが、流石ですね。
今年はどこかでお目にかかりたいです。春が来れば、初めて見る植物との出会いがあるかと思うと、とても待ち遠しいです。
hanasanpo (土曜日, 12 2月 2011 09:58)
ペンさん
ありがとうございます。ルリソウは一番よい時期に見ることができたと思います。
もうすぐ初春の花たちが咲きだしますね。多くの花を見ることができる季節もよいですが、初春は間もなく訪れるもっと楽しい季節へのワクワク感を感じさせてくれます。
今年はぜひご一緒させて下さい。夫婦ともども楽しみにしています。近日中に具体案をいくつかお送りします。ご都合が合うときにお願いいたします。