ツメレンゲ

 

爪蓮華 ベンケイソウ科 イワレンゲ属

Orostachys japonicus 準絶滅危惧(Near Threatened) 

ツメレンゲ (爪蓮華) ベンケイソウ科 イワレンゲ属 2011.10.23 長野県上田市
 ツメレンゲ (爪蓮華) ベンケイソウ科 イワレンゲ属 2011.10.23 長野県上田市

 

 9月23日に初めてこの場所を訪れたときは、ツメレンゲの数の多さに大変驚きました。 なかなか見ることができない植物なのに、市街地でも条件が良いと、こんなにもたくさん増えるのですね〜。 やはり同じ属のイワレンゲに似ています。

 

 しかしその時は、花を観察するには時期が早過ぎました。 気の早い花がわずか数個だけ開花している状態でした。 ぜひ見頃の時期に再訪したい!と思いましたが、それはいつ頃になるのか? 自宅から近いと言える距離ではないので、気軽に何度も訪問する訳にもいかず... 次に訪れるときも賭けだな、と思ったのです。

 

ツメレンゲの大群生。 この写真は全体の一部。 数百株? いや、千株以上かも!
ツメレンゲの大群生。 この写真は全体の一部。 数百株? いや、千株以上かも!

 

 私たちがまだ蕾の状態のツメレンゲを撮影していると、通りがかったご夫婦が声をかけてくれました。 後で知りましたが、すぐ近所にお住まいのHさんご夫妻でした。 ツメレンゲはあまりにも身近な植物なので、特段気にはされてはいなかったそうです。 私たちはこの植物を見るために東京からやって来たことや、これほど多くが市街地にまとまって生えているのは非常に珍しく、貴重であることなどをお話ししました。 そして初対面なのに、厚かましくも、花が咲いたら連絡を下さいとお願いしたのです。

 

 こういったことは忘れ去られてしまうことも多いですが、Hさんはしっかり覚えていて下さり、約1ヶ月後に、花が咲いて見頃になったことをメールで知らせてくれたのです。 地元の方のホットな情報以上に信頼性が高く、ありがたいものはありません。 週末にさっそく出かけ、今回の姿を見ることができました。わがままな要求に応えて下さったHさんご夫妻の善意に、心より感謝します。

 

ツメレンゲ あまりにたくさんいて、どれを撮ろうか?目移りしてしまう
 あまりにたくさんいて、どれを撮ろうか?目移りしてしまう
ツメレンゲ 下から見上げてみました これはこれで面白い!
 下から見上げてみました これはこれで面白い!
ツメレンゲ 花色は白色、薄い赤、薄い緑と個性豊か
 花色は白色、薄い赤、薄い緑と個性豊か
ツメレンゲ 基本は白なのでしょうか。一番多いように見えました。
 基本は白なのでしょうか。一番多いように見えました。
ツメレンゲ 赤みがかった花も美しい
 赤みがかった花も美しい
ツメレンゲ 紅色の葯がかわいい。白い花弁によく映えます
 紅色の葯がかわいい。白い花弁によく映えます

 

ツメレンゲには、いろいろな昆虫が集まっていました。

少しだけ紹介します。 まずは、クロツバメシジミ。

シジミチョウの仲間で、ツメレンゲを食草とする蝶です。

 

クロツバメシジミ
 クロツバメシジミ
クロツバメシジミ かわいいチョウです
 クロツバメシジミ かわいいチョウです

 

なんだかこの蝶がとても気に入ってしまいました。

花よりたくさん写真を撮ってしまったほどです。

LIVES! にも専用コーナーを作りました。

 

セイヨウミツバチかな? 足にたくさん花粉をつけています
 セイヨウミツバチかな? 足にたくさん花粉をつけています
アカサシガメ。きれいな赤でした
 アカサシガメ。きれいな赤でした
オオスズメバチ? コイツはヤバいです
 オオスズメバチ? コイツはヤバいです

 

 

ツメレンゲ

 

 山地や海岸の岩の上や、屋根瓦の間などに生える多年草。葉はロゼット状につき、赤みを帯びたり粉白を帯びることが多く、多肉質。形状は披針形で、先端は針状にとがる。和名はこれを動物の爪にたとえたものといわれる。

 

 ロゼット状の葉の中心から花茎が伸び、白い小さな花を密につける。花は花茎の下から上に開花する。花弁は5個、雄しべは10本、雌しべは5本で、花粉を出す前の葯は紅色。花弁の先端はとがる。花が咲くと、その株は枯れるが、根元付近に新しい株ができていることが多い。本州の関東地方以西、四国、九州に分布するが、瓦屋根の家屋の減少などで生育地は減っている。花期は10〜11月。

 

2011.10.27 掲載