低山の日当たりのよい草地に生える、半寄生の1年草です。 半寄生とは、葉緑体を持ち自分でも光合成を行なうが、根の一部を他の植物の根に食い込ませて養分を奪うという性質も併せ持つ生活形態です。 北海道から沖縄県まで全国に分布するそうですが、出会ったことがありませんでした。 分布域は広くても、数はさほど多くないのかも知れません。 今回は富士山の近くの山で鮮やかな黄色い花に出会うことができました。 とても日当たりのよい草地でした。
茎はほぼ直立し、上部でやや分岐して高さは30〜70cmになります。
APG-Ⅲ分類体系ではハマウツボ科ですが、旧来の分類体系ではゴマノ
ハグサ科になります。 本種より数が少ないと思われるオオヒキヨモギ
は見たことがあるので、本種がどのように違うのか興味津々でした。
草全体がオオヒキヨモギよりも小型であるように見えました。
葉は3片ほどの広線形の裂片に裂け、下方の裂片は
さらに少数の裂片に裂けます。 オオヒキヨモギの葉
は、このように細かく裂けません。
萼は細い円筒で、花期には長さ11〜17mmになります。
先は5つに裂け放射状に広がり、裂片は卵状長楕円形でと
がり、長さは4〜5mmです。
花冠は明るい黄色で長さ約2.8cmの唇形です。 花の色はオオヒキヨモギより濃い黄色に見えました。 上唇は左右から内側に巻き込み、先端は細くなり、外側に長い軟毛が生えます。 軟毛はオオヒキヨモギより長く見えました。 4個の雄しべは上唇の中にあり、この角度からは見えません。 雌しべが長く伸びています。 下唇は3裂し、中央裂片に大きく縦に走る2個の隆起があります。 下唇には短い毛が生えていますが、内側にはあまり毛がありません。
さて、この花はどう見ても左右対称です。 知識としては持っていましたが、実物を見て確かめられたので、安心しました。 というのも、オオヒキヨモギの花は、左右非対称という変わった形をしているのです。 この違いを覚えていれば、見分けることは簡単です。
上はオオヒキヨモギの花です。 下唇の右側の裂片が立ち上がりますが、左側の裂片は平開しています。 このため左右非対称となっています。 また、唇弁の内側にも毛が多い様子がわかります。
ヒキヨモギの花の側面です。 上唇の先端は暗紫褐色になっています。 下唇の大きな隆起が目立ちます。 この隆起にはどのような役目があるのかな?
2015.01.16 掲載
2016.01.16 文を追加
ちごゆり嘉子 (金曜日, 25 9月 2015 13:33)
ヒキヨモギらしき植物を見つけました。以前確か黄色い花をつけていました。
なん月頃で、あったかなあ?
こちらのヒキヨモギの花を見たには、いつだったですか?
HiroKenのKen (金曜日, 25 9月 2015 13:43)
一番上の画像に撮影日があります。