シロウマアサツキ
北海道、本州(朝日山地、飯豊山、雨飾山、北アルプス)の高山帯の砂礫地や草地に生える多年草。 花茎は中空で高さ20〜60cmになり、紅紫色の花を散状に多数つける。 花序は直径3〜4cmで、花被片は6個あり、長さ6〜8mmの卵状披針形で先は尖る。 雄しべは6個で花被片とほぼ同長。 葯は黄色で花糸に歯がない。 葉:円筒形で直径3〜5mm、長さ20〜35cm。 花期は7〜8月。 [ 山渓カラー名鑑 日本の高山植物 ]
上の解説を入力していて、いくつか疑問点が見つかった。
まず、花の色。 図鑑にはどれも「紅紫色」と書いてあるが、紅紫色には見えない。 図鑑の写真は確かに紅紫色に見えるので、この個体の色が薄いのだろうか? しかしリフトから見た株もこれと似た色に見えた。 あるいは単なる個体差なのか?
次の大きな疑問は、葯の色。 図鑑には「黄色」となっているが、この花の葯はどうみても薄紫色である(上部は既に花粉を出して白くなってしまっているが、下部にはまだ葯が残っている)。
最後の疑問は、「花糸に歯がない」という部分だ。 花糸とは雄しべの葯を支える柱状部分であるが、「花糸の歯」って何だろう?「歯」なので尖った突起状のものなのだろうか。 図鑑やネットで調べまくっても、「花糸の歯」がどんな形状のものであるか、明確にわかる写真は見つからなかった。 上の写真の一部をトリミングして拡大した写真を載せます。 確かに花糸には突起状のものは無いようです。
八方尾根と言っても、乗り継いだリフト乗り場の近くで見つけたので、あまり高くない場所での撮影。 昨年初めて八方に行ったが、その時見たかった花の一つが、この花だった。 しかしリフト上から数株を見つけただけで、八方池山荘から八方池までの間で見つけることはできなかった。 白馬大雪渓の上部に「葱平」と呼ばれる場所があり、そこではたくさん見られるようだが、私たちはなかなかそんな所まで行けません。
今回も同じようだった。 リフト上から探したら数株見つかったが、上に上がると姿は見えず。 リフト直下は当然立ち入り禁止区域なので、歩いて戻る訳にもいかない。 今回もダメか?と諦めかけたが、帰りがけにリフト駅の近くに咲いているのを発見! そこは立ち入り禁止のロープから30mほど奥。 リフト改札の女性の係員さんと交渉し、リフト直下には絶対に行かない条件付きで、入る許可をもらった! 他の登山客が少なくなるのを待って、ロープを乗り越えて接近! おお、これがシロウマアサツキかぁ!
すっくとまっすぐ伸ばした花茎の先の花序はまん丸かと思っていたが、横から見ると下部はやや平らな感じで、まんじゅうのようだった。 薄紫色の花被片で、中央に縦にやや濃い紫の線が入る。 二人で競うように写真を撮り始めたら... 先程とは別の男性係員に(今度は「さん」はつけない)、「そこは立ち入り禁止です!すぐ出てください!」と大声で叱られた。 「ちゃんと断って、許可をいただ...「立ち入り禁止です!出て下さい!」被せるように何度も言われ、しぶしぶ立ち去った。 こっちの言う事なんて聞いちゃいない。 撮影時間わずか1分半! でも近くで見ることができたし、写真も何枚か撮影もできたので、良しとしよう!
2010/08/24
2010.08.24 掲載
2013.10.08 APG分類体系移行に伴いユリ科からネギ亜科に変更。