渓流沿いの、湿った林内に咲いていました。 和名はイブキトラノオ(タデ科)やオカトラノオ(サクラソウ科)が夏に咲くのに対して、本種は春に咲くので「春虎の尾」となったようです。 イロハソウという別名もあって、これは春早く咲くので47文字のイロハにたとえたものらしいです。
しかし「虎の尾」と言うには、ちと短い気がします。 生まれたばかりの赤ちゃんトラのしっぽに似ているというなら納得ですが。
根生葉には長い柄があります。
白い花は清楚な感じです。
根生葉の葉柄の上部には、翼があります
(矢印部)。クリンユキフデやアブクマ
トラノオにはありません。
花弁はなく、白い部分は萼です。 雄しべは萼から
突き出しています。咲き始めの葯は暗紅色ですが、そ
の後黒っぽくなっていくようです。
ハルトラノオ
山地の落葉樹林内に生える高さ15〜20cm多年草。 根生葉は長さ2〜8cmの卵形または卵円形、先はとがり全縁。 基部は流れ、長い柄がある。 花茎は根生葉と別に直立し、先端に花穂を出し白色の花をつける。 花弁はなく萼は5深裂し、雄しべ8個は突き出る。 本州・四国・九州に分布。 花期は4〜5月。
(ハルトラノオ属とする分類もあるようですが、図鑑に従いタデ科としました)(参考:山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花 他)
〜 少し似ている花 〜
クリンユキフデ (九輪雪筆) タデ科 イブキトラノオ属
Bistorta suffulta
本州・四国・九州の山地の林内に咲きます。茎葉は茎を抱きます。
葉腋にも小さな花序をつけることがあります(写真左の中央)。
葯は薄紫色です。
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アブクマトラノオ (阿武隈虎の尾) タデ科 イブキトラノオ属
Bistorta abukumensis
福島~宮城県の阿武隈山地の太平洋側に分布。 花はハルトラノオ、葉はクリンユキフデに似るので、それらの種と混同されていたようですが、1995年に新種として発表されました。 しかし花はハルトラノオと比べると長い花柄が目立ちます。 葉もクリンユキフデと見間違うほどは似ていないと思うのですが...。
2010.12.23 掲載
2013.04.08 写真追加(3・4枚め)