セントウソウの品種です。 本州の愛知県以西、四国、九州の山地に稀に見られます。 セントウソウと比べて、小葉の裂片の幅が0.3〜1mmと、非常に細いことが特徴です。 草丈は10〜25cmほど。 花は4〜5月に咲きます。
セントウソウの品種ではなく変種とする考えもあったようです(Chamaele decumbens (Thunb.) Makino var. japonica (Y.Yabe) Makino)。 しかしYListでは変種はシノニムとして扱い、標準は品種とされていたので、それに従いました。
セントウソウの品種なので、葉は1〜3回3出羽状複葉であることは間違いないと思いますが、それが明確にわかる写真は撮れていませんでした。 重なり合ってしまうと、どれがどの葉柄の小葉なのか、わからなくなります。
写真#3でミヤマセントウソウとセントウソウの葉の写真を並べてみました。 ミヤマセントウソウの葉の裂片はとても幅が細く、セントウソウと見誤ることはなさそうです。(左右の写真の倍率は異なるので、大きさの比較はできません)
花序の様子は、セントウソウと大きく変わらないように見えました。 根元から伸びた細い花茎の先に、複散形花序を出します。 花柄の数は3〜5個で、長さは不揃いです。 花柄の先の小散状花序に、それぞれ5〜10個の花をつけます。
一株あたりの花の数は、ミヤマセントウソウの
方がセントウソウより多いように感じました。
ミヤマセントウソウの花の直径は、2〜3mm。 白色の花弁は5個で、やや内側に湾曲します。 雄しべも5個で、花弁と互生し、花弁より長く突き出します。 裂開前の葯は白色。 花柱は2個です。
5弁花ですが、きれいな5角形ではなく、若干歪んでいるように見えます。 この理由については、セントウソウのこの項で詳しく述べたので、よろしかったらご覧下さい。
最後にミヤマセントウソウで合っているのか、ちょっと自信がない植物の写真を掲載します。
写真#7と#8は、見つけた当初は名前がわからりませんでした。 ヤブジラミやオヤブジラミヤブニンジンなどとも明らかに違います。 その後、ミヤマセントウソウではないかと思い、先日までそのように表示していました。 しかしまたわからなくなってしまったのです、なにせ観察地が栃木県栃木市なので、分布域の愛知県以西からは大きく外れているのです。
実は分布域の北限は北関東であった、という可能性はゼロとは断言できないでしょうが、考えにくい。 もしかすると葉は細いですが、セントウソウの変異の範囲内であるのかも知れません。 何か情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご一報いただけると嬉しいです。
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日本の野生植物 草本2 離弁花類 平凡社 1982年3月31日 初版第3刷 p.282
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2018.03.16 掲載