梅雨晴れの強烈な日差しが降り注ぐ休日、広大な湿原の真ん中で、タチスミレと初対面を果たしました。 もちろん、自分たちで探し当てたのではなく、案内して下さった方がいました。 分布域は非常に狭く、個体数も少ないようです。 もし自分たちだけで探したら、大げさでなく何年かかるかわからなかったでしょう。 貴重な自生地を案内して下さったOさんに感謝します。
タチスミレ。 その名に相応しく、長い茎をすっと立てて咲いていました。 花は直径1cm程度。 ここまで長く茎を伸ばすスミレを見たことがありません。上の写真の花は高さ20cmほどでした。 大きめ・小さめいろいろいましたが、およそ15〜30cmほどです。 これが花後には更に伸びて、1m以上にもなるそうです。 そんな巨大になるスミレの仲間は見たことがありません。 驚きのスミレとの対面でした。
花だけ見ると、特段変わったところはありません。 唇弁に濃紫色の筋が入ります。 その他は、白です。 上の写真の倍率ではほとんど見えませんが、側弁の基部には短い毛が密生しています。
花弁の外側は、薄い紫色になっています。 ニョイスミレ類ですが、東アジアからニュージーランドなどで8種前後あるそうです。 日本ではニョイスミレと本種の2種が自生しています。 距が短いことも、この仲間の特徴です。 距の長さは1.5〜2.0mmほどでした。
タチスミレ
河川の改修や開発で次々と自生地が失われ、絶滅の危機に瀕している。 河川の氾濫原の低湿地にアシ(ヨシ)などと一緒に生える。 葉は長さ4〜8cmの三角状披針形。 托葉は大きく、長さ2〜6cmの線状披針形で、葉のように見える。花柄は長さ5〜10cm。 花期は5〜6月。
2011.06.09 掲載
かのん (金曜日, 10 6月 2011 09:01)
花の大きさが1㎝くらいというと、ニョイスミレが長~く立ち上がった姿を想像すればいいのでしょうか(笑)
ニョイスミレはあんなに元気にあちこちで咲いているのに、この子は弱いんですね。
背の高いアシなどと一緒に生えていた為、日光を求めて高く高く進化してきたのでしょうか。
今日も勉強させていただき、有難うございました。
hanasanpo (金曜日, 10 6月 2011 21:56)
そうなんです。ニョイスミレの花柄と葉の先をつまんで、きゅ〜んと真上に引っ張って伸ばしたら、タチスミレになるんです(笑)
湿原が日本中にあった時代には、きっと珍しいスミレではなかったのでしょう。
あの広大な湿原なら、今後多少の気候変動などがあっても生き延びていけるのではないでしょうか。
但し、これ以上人間が手を加えないという条件つきですが。
オっと誤解のないように書いておかなくては。かのんさんはご存知でしょうが、人間の手による「ヨシ焼き」は、この湿原の希少植物達にとってなくてはならないものです。もし本当に世界環境遺産にでもなって、「一切、手を加えてはなりません!」となってしまったら、この地の多くの絶滅危惧種の植物たちが、本当に絶滅してしまうことになります。
明日から新潟・長野に遠征に行ってきます! 逢いたい植物達と出会えるといいのですが!