ソナレマツムシソウ
磯馴松虫草 スイカズラ科 マツムシソウ属
Scabiosa japonica Miq. var. littoralis Konta et S.
Matsumoto
日本固有種 絶滅危惧Ⅱ類 ( Vulnerable )
高原に咲くマツムシソウの変種で、房総半島・三浦半島・伊豆半島の限定された海岸に咲く花です。 和名の「ソナレ」とは「磯馴れ(いそなれ)」のことで、海岸の特殊な環境に適応した、海岸型の植物の名につけられることがあります。 当サイトでは他にソナレセンブリがあります。
マツムシソウは秋の高原を彩る代表的な花の一つ。 それに対してまったく環境の異なる、海岸に咲くこの植物を是非見たいと思いました。 ネットの情報を頼りに、2011年10月9日に三浦半島の小さな岬を訪れました。 しかし葉や果実などの痕跡すら見つけることができませんでした。 絶えてしまったのか? とさえ思いました。
半ば諦めかけていたとき、あるブログの10月23日の記事で「たった1株、咲いているのを見つけた」とあるのを発見しました。 場所は私たちが訪れた岬であり、何よりも数日前のホットな情報なので信頼性が高い。 そこで再度チャレンジすることにしました。 今回は2人である利を生かし、分かれて探索するなどして前回よりも探索範囲を広げました。 その結果上記の「たった1株」を見つけることができたのです。 後で写真を見比べたら、やはり同じ株でした。 普通のマツムシソウでは有り得ない、海岸をバックにした1枚を収めることができました。
上記のブログによると、10年ほど前まではこの地でたくさん見ることができたが、今では見つけることが大変になってしまったそうです。 波による浸食、護岸工事などの環境の変化や、盗掘のためなのか、大幅に数を減らしているようです。 この株がこの岬の本当の最後の1株ではないことを祈ります。
高さは500mlのペットボトルと同じほどだったので、
20cm強でした。 マツムシソウが60〜100cmにな
るのに対して、ずいぶん低いです。強い風が吹き付
けることの多い海岸では、背が低い方が得策なので
しょう。
葉は根元付近にまとまってつきます。厚く、固い感じです。
これは絶えず潮風が吹きつけたり、強い紫外線にさらされ
るなど、過酷な環境で生きる海岸型植物の特徴の一つです。
花径は3cmほどで、4cmほどであるマツムシソウより一回り小型です。
花茎には下向きの白い毛が密生していました。
蕾です。
果実
ソナレマツムシソウ
房総半島・三浦半島・伊豆半島(東岸)に稀に生える。高原に咲くマツムシソウの海岸適応型で、日本列島が寒冷化した時に高原から下りてきた個体の生き残りが進化した植物といわれている。 従来は母種のマツムシソウの一品種とされていたが、マツムシソウは開花後に枯死する越年草であるのに対し、本種は枯死しない多年草的な性質も確認された。 また移植栽培し増殖したものも海岸型の特徴を維持し、自生地が地理的に海岸という場所を占めているので、品種から変種に格上げされた。
2011.10.30 掲載
2013.10.02 マツムシソウ科からスイカズラ科に変更
ソナレマツムシソウが掲載されたページ
Dairy-Hiroダス
かのん (土曜日, 05 11月 2011 16:24)
海をバックにしたソナレマツムシソウ!
たったひと株を見つけ出したヒロさんケンさんも凄いですが、
なによりこの写真が素晴らしいです!
高原の湖じゃなくて、海ですからね~
背の低さもよ~く分かり、潮風まで感じられる写真です。
hanasanpo (土曜日, 05 11月 2011 22:34)
かのんさん、ありがとうございます!
こんなコメントをいただき、また「やる気ゲージ」がビ〜ン!と上がりましたよ。
花は斜面に咲いていた上に背が低かったのですが、どうしても海岸の一部だけ
ではなく遠くの岬までを写し込みたかったので、カメラを持った左手を地面に
押し付けるようにして、超ローアングルで撮影しました。