山地や丘陵の草地に生える、高さ60〜100cmの多年草です。 北海道〜九州に分布し、花期は8〜9月です。
探しまわっていたわけではないですが、なかなか出会えない花でした。 いつかは見たいと思っていましたが、昨年(2014年)、富士山を望む高原の草地で出会うことができました。 思っていたより背が高い植物でした。
葉は卵形〜狭卵形で、粗い毛が生え、欠刻状の粗い鋸歯があります。 長さは5〜9cm、幅は3〜7cmで、先端は鈍頭または鋭尖頭。 基部は広いくさび形〜やや切型で、1〜5cmの柄があります。
茎は直立します。 稜があり、断面は四角です。
花は上部の葉腋に数個づつ輪生し、紅紫色で長さ25〜30mm。
緑色でツンツンたくさん生えているものは、萼です。 萼は長さ約15mmで粗い毛があります。 5浅裂し裂片は刺状に尖るので、たくさん生えているように見えます。
花冠は唇形でいかにもシソ科っぽい。 上唇と下唇に別れ、上唇は全縁で外面は白毛が密生し、白く見えます。 下唇は3裂し、紅紫色の縦の条があります。 「キセワタ(着せ綿)」の由来は、花にこの白毛が多い様子を、花に着せた綿に見立てたものだそうです。 花の形は少しオドリコソウソウに似ていると思いました。
< メハジキ >
上の2枚の写真は、同じメハジキ属のメハジキです。 低地で見ることができ、キセワタよりずっと出会う機会が多いです。 遠目ではキセワタと似ているのですが、葉は細長く掌形で、形はずいぶん違います。 花の白毛も、キセワタほど多くない感じです。
2015.01.14 掲載