2010年5月16日。 高尾山を一人で散策していると、薄暗い林道脇で見慣れぬシソ科の植物を見つけました。 高さは15cmほど。 花はいかにもシソ科キランソウ属、という顔立ちでした。 なかなかよい姿で、一目で気に入りました。
帰宅後調べて、オウギカズラであることがわかりました。 お初の花だったので、出会えたことに感謝です。 翌17日にもHiroを伴って観察に行きました。
図鑑には、このように書かれています。
・花をつける茎は、高さ8〜20cm。
ということは、花をつけない茎もあるということですね。
また、このようにも書かれています。
・基部の節から長く地表をはう走出枝を出す。
・走出枝につく葉は、やや小型である。
(走出枝にも葉がつくのか〜 花をつけない茎が、走出枝??)
「走出枝は、これです」と明確に示せる写真を撮影できていません。 しかし、図鑑の解説から推測すると、上の写真では黄色い線で囲った部分が、走出枝ではないかと思います。 もし違っていたら、ご指摘いただけるとありがたいです。
葉の形状に特徴がありますが、表現が難しいので再び図鑑の解説を引用させていただきます。
・葉は対生し、2〜5cmの葉柄があり、五角状心形で不ぞろいの浅い切れ込み
がある。 長さ2〜5cm、幅1.5〜3.5cm。
ふ〜ん、こんな形を「五角状心形」というのですね。 葉の切れ込みは確かに不ぞろいで、葉によってマチマチでした。 扇葛の名の由来は、「葛」は走出枝を出すからなのでしょう、これは納得。 でも「扇」は葉の形が扇のようだからとか。 これは納得できませんね...。 この葉を見て、扇を連想する人がいるとは思えないな〜。 でもステキな名前ではありますよね。
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ちょっとわかりにくいですが、葉の表面には白っぽい
短毛がまばらに生えています。
★写真にポインターを重ねると拡大します。
(スマホはタップ)
花は茎上部の葉腋につきます。
花は淡紫色。 上唇は2裂し長さ約4mm、円形に近く、縁に
こまかな切れ込みがあります。 淡紫色の筋がなく、白色に近
く見えます。
下唇は3裂して開出し、中裂片は側裂片よりかなり大きく、
先端がさらに浅く2裂します。 しかしよ〜く観察すると、2裂
裂した先端中央部に小さな突起状の出っ張りが見えます。この
ため厳密には先端部は2裂ではなく3裂しているというべきで
は?と思いました(下の写真)。
下唇は全体的に淡紫色、そこにやや濃い淡紫色の筋が入りま
す。 花の色は地域差があるようです。 本ページの花は、色
が薄い方であろうと思います。
花を上方から見た写真です。 花冠は長さ2.5cmほどで、細長い筒部があります。 上の写真ではわかりにくいですが、萼は5裂し、先端はとがります。 萼や花冠の外側には、白っぽい毛が生えています。
上唇と雄しべの間に、先が2裂した黄緑色の柱頭が、ちょこんと
顔を出しています。 雄しべは4個。 モシャモシャと生えた白毛
は、花糸から生えています。
(★写真にマウスでポインターを重ねて下さい)
ちょっと脱線しますが、花糸から毛が生えているということで、
同じシソ科のミズトラノオを思い出しました。 その毛がとても
美しいのです。 よろしかったら、この後ご覧になって下さい。
2013年5月1日の自生地の様子です。 時期が早く、まだ
花はありません。 このページを掲載したのはその10日後。
オウギカズラの花期は4〜5月なので、そろそろ咲き出して
いるかも知れませんね。
2013.05.11 掲載
かのん (月曜日, 13 5月 2013 21:49)
kenさんこんばんは^^
>この葉を見て、扇を連想する人がいるとは思えないな〜
私連想しちゃいました^^
多分一枚の葉じゃなくて、葉が左右対照につく様子が扇を広げたように見えたのかも^^
hanasanpo (月曜日, 13 5月 2013 22:51)
にゃるほど~〜!
1枚の葉だけ見ていても扇には見えませんが、全体の姿を見たら、確かに扇っぽく見える!
上から3番めの写真を見直し、納得です。
「木を見て森を見ず」でした。さすがかのんさん!ありがとう〜〜!