クモイコザクラ

 

雲居小桜 サクラソウ科 サクラソウ属

Primura reinii var. kitadakensis

日本固有種  絶滅危惧ll類(Vulnerable)

クモイコザクラ  2009.05.09 山梨県北杜市  alt=1390m
 クモイコザクラ  2009.05.09 山梨県北杜市  alt=1390m

 

 標高1400m近くの谷は、まだ早春の冷たい空気に包まれていました。 ほとんど垂直に切り立った岩壁。 荒々しい岩肌は、あちこちから染み出す水で濡れ、黒っぽく見えます。 岩の窪みに、クモイコザクラがしがみつくようにして咲いていました。この健気な姿に、私達は大変感動しました。

 

 ほとんどの株はやや遠方にあり、近づくことができませんでした。 上の写真は一番近くで見ることができた株ですが、ちょっと危ない場所に入り、手を伸ばしてようやく撮影できたものです。

 

クモイコザクラ

 

 南アルプス、八ケ岳、秩父山地の亜高山帯〜高山帯に生育します。

コイワザクラの変種です。 コイワザクラと比べて葉の切れ込みが

深く、鋸歯が鋭いという点などが異なるようです。

 

クモイコザクラ

 

 花の直径は2cmほどで、コイワザクラと変わらないよう

です。 花弁裂片の幅がコイワザクラより細身であるよう

に見えますが、花だけで識別するのは困難に思えます。

 

クモイコザクラの葉
 クモイコザクラの葉
コイワザクラの葉 2012.05.12 神奈川県
 コイワザクラの葉 2012.05.12 神奈川県

 

 左がクモイコザクラ、右が母種のコイワザクラの葉。 どちらも花の時期には葉が展開しきっていませんが、あえて見比べるとクモイコザクラの方が切れ込みが深く、鋸歯の先端が鋭く見えます。 並べて比較しないとわからない程度の差と思えます。完全に展開すると直径は約5cmで、切れ込みの深さは1/3ほどになるそうです。 葉の表面の毛はクモイコザクラの方が少なく・長く、コイワザクラは多く・短い。

 

クモイコザクラ

 

 他の多くのサクラソウ科の植物と同様、数を減らしています。

園芸や売買目的の採集などは言語道断です。 いつまでもここ

に咲き続けてほしいと思いました。

 

2014.01.12 掲載

 

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