標高1400m近くの谷は、まだ早春の冷たい空気に包まれていました。 ほとんど垂直に切り立った岩壁。 荒々しい岩肌は、あちこちから染み出す水で濡れ、黒っぽく見えます。 岩の窪みに、クモイコザクラがしがみつくようにして咲いていました。この健気な姿に、私達は大変感動しました。
ほとんどの株はやや遠方にあり、近づくことができませんでした。 上の写真は一番近くで見ることができた株ですが、ちょっと危ない場所に入り、手を伸ばしてようやく撮影できたものです。
花の直径は2cmほどで、コイワザクラと変わらないよう
です。 花弁裂片の幅がコイワザクラより細身であるよう
に見えますが、花だけで識別するのは困難に思えます。
左がクモイコザクラ、右が母種のコイワザクラの葉。 どちらも花の時期には葉が展開しきっていませんが、あえて見比べるとクモイコザクラの方が切れ込みが深く、鋸歯の先端が鋭く見えます。 並べて比較しないとわからない程度の差と思えます。完全に展開すると直径は約5cmで、切れ込みの深さは1/3ほどになるそうです。 葉の表面の毛はクモイコザクラの方が少なく・長く、コイワザクラは多く・短い。
他の多くのサクラソウ科の植物と同様、数を減らしています。
園芸や売買目的の採集などは言語道断です。 いつまでもここ
に咲き続けてほしいと思いました。
2014.01.12 掲載