チチッパベンケイの観察を終えると、もう夕暮れが近くなっていました。 宿に向かう時間が近づいていましたが、もう少しだけ行ってみようと、人が歩くほどの速さでゆるゆると車を動かしました。 しばらく進んだところで、道路脇に見慣れぬケシ科の植物が見えました。 安全な場所に車を停め、戻ってよく見ると、なんとツルケマンでした。(別名ツルキケマン)
初対面の花です。 思わぬところで、なかなか出逢うことの
できない希少種との対面となりました。山道脇の半日影でやや
湿った場所に、小さく群生していました。
この時期に咲く少し似た花に、本種の変種であるナガミノツルキケマンがあります。 花の色は異なり、黄色であるナガミノツルキケマンに対して、本種は「薄いクリーム色」と表現したい感じです。 この違いは明確なので、どちらかを見たことがあれば、もう一方を見間違えることはないのではないかと思います。 ナガミノツルキケマンの写真を一番下に掲載します。
もう一つ、ナガミノツルキケマンとの区別点は、蒴果の種子が2列に並ぶことです。ナガミノツルキケマンは1列に並びます。 なかなかよい写真が撮れなかったのですが、上の写真ではなんとか種子が2列に並ぶ様子がわかります。
下の写真はナガミノツルキケマンです。 花の色は濃く、遠くからでも目立ちます。 蒴果の中の種子が1列に並んでいる様子もわかります。
ツルケマン
別名ツルキケマン。林内に生える1年草〜越年草。茎は稜があり、白緑色で無毛。葉は互生し2〜3回3出複葉。小葉は3深裂し、長楕円形で長さ1.0〜1.5cm、全縁。苞は披針形または卵形で全縁。花期は7〜9月。本州の関東地方と中部地方に分布。
2011.10.10 掲載
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