バシクルモンという変わった名の植物を見たくて、新潟県にやって来ました。子供の頃に熱中した「ウルトラマンシリーズ」に出て来た怪獣のような名前です。 「隕石怪獣 ガラモン」とか「友好珍獣 ピグモン」とか。 そうそう、「怪獣酋長 ジェロニモン」とかもいたっけ! ああ、懐かしい。
キョウチクトウ科の多年草です。 茎は赤みを帯びていて、高さ40〜80cmになり、よく枝分かれします。 北海道と、本州の青森県~新潟県の日本海側の海岸に生育するとされますが、ここはその南限に近い海岸です。
和名は図鑑に「アイヌ語のpaskur(カラス)- mun(草)に由来すると思われる」とありました。 北海道で発見されたそうですが、それでアイヌ語由来の名前が付けられたのでしょうか。 アイヌの方がなぜ「カラス草」と呼んでいたのかは、不明です。 和名の漢字表記はないようですが、オショロソウ(忍路草)の別名があります。 これは発見地が小樽にある忍路岬(おしょろみさき)であったことに由来し、こちらはわかりやすい。
実はこの植物を見に訪れたのは今回が初めてではなく、昨年(2011年)にも同じ場所に見に来ていました。 しかし時期が早すぎ、花はすべて蕾の状態でまったく見ることができなかったのです(左の写真)。 そこで今年は訪れる時期を約1ヶ月遅らせてみました。
まだ蕾の方が多かったですが、なんとか薄紅紫色の
かわいい花が開花している姿を見ることができました。
花冠は狭い鐘形で長さ6〜7.5mm、5中裂し
両面に細毛状の突起があります。
自生地は垂直に近い岸壁で、砂と石を押し固めたような、とてももろい感じの岩です。 開花したバシクルモンに接近できる場所は限られ、似たようなアングルの写真が多くなってしまいました。 頭上には今にも落ちて来そうな岩も見え、落石を警戒しながらの撮影になりました。
多年草なので茎は毎年枯れますが、根は越冬し成長していきます。 ほとんど栄養分がなさそうな岩肌を、赤みを帯びた根が這いまわっており、所々から茎を立ち上げていました。 海岸の厳しい環境の中で生き抜く姿に、逞しさを感じました。
2012.07.31 掲載
バシクルモンが掲載されたページ
Dairy-Hiroダス
nobi (水曜日, 01 8月 2012 06:41)
年々開花する花の数も減少し、今年は過去5年で最小数だったと友人が言ってました。来年は踏ん張って沢山開花させて欲しいと願います。
hanasanpo (水曜日, 01 8月 2012 16:41)
nobiさん、コメントをありがとうございます。
真の南限はこの場所から数十メートル(?)南と思いますが、
そちらはもう少し株数が多そうです(でも行き方がわからない...)。
なんとか元気を盛り返してくれるといいですね!
hisashi fujita (水曜日, 12 6月 2013 16:34)
はじめまして地元の西蒲区に住みこの植物を追跡している者です。
バシクルモンの生息地として白岩という凝灰岩の岩場で撮影されていますが、初めから岩場に焦点をあてて捜されたのでしょうか。それとも案内人の紹介があったのでしょうかお聞かせください。もっと南とあるのは旅館のすぐ下のゴミの中にも見つけられていますね。
もともと南限とは適当な解釈で、かつて北海道と結びつきのある地元民が持ち込んだものが
繁殖したものと見ています。北海道の釧路が可能性が高いのですが、現地の生息情報がほとんどなくDNA鑑定までいけるかわかりません。調査研究の参考にさせてください。
hanasanpo (木曜日, 13 6月 2013 22:55)
案内人はいませんでした。自生地の岩場はネットで情報を収集し、知りました。
「もっと南」とは岩場の南側のことを指します。まだ行ったことはありません(道が通行禁止になっていたので・・・)。
「旅館のすぐ下」とはどこなのでしょう?
北海道から人の手で持ち込まれたものである可能性があるとは、知りませんでした。情報をありがとうございます。釧路で自生しているものが見つかるといいですね!
kuri (日曜日, 13 9月 2015 08:15)
バシクルモンの純粋な蜂蜜を買って日本で食べてみました。高級感ある奥深い甘みのある蜜です。派手さはなく、香りも強くありませんが、食べやすい甘みが印象的です。罗布麻蜂蜜、稀域原蜜で380g。
HiroKenのKen (日曜日, 13 9月 2015 21:24)
バシクルモンの蜂蜜があるとは、初めて知りました。中国産でしょうか?
キョウチクトウ科の植物なので、もしかしたら有毒かと思っていましたが、
少なくとも蜂蜜は採れるのですねえ! 珍しい情報をありがとうございました。