山地の林内に生える、常緑の多年草です。 本州の近畿地方以西から
島根県と、四国西部に分布します。 葉柄は長く、紫色。 花期は4月。
ここでは道路の法面の、傾斜のきつい場所に咲いていました。
岐阜県の花友さんのOさんに、キバナサバノオを案内していただいた
帰り道で、教えていただきました。
葉は長さ5〜8cmで、楕円形〜卵状楕円形で鈍頭。 基部は深い心形で、両側片が耳状に張り出すことがあります。 上の写真では中心やや下の小さめの葉には耳状の張り出しはありませんが、左の大きな葉や一番下方の葉は、明確に張り出していますね。
葉の裏面は無毛、表面には短毛がまばらにあるそうです。 今回は毛の有無がわかる写真を撮ることができませんでした。
葉の表面は平坦で、光沢が薄く、雲のように見える「雲紋」があります。 じっくり見ていると、雲紋は淡緑色の濃淡や形が複雑で、なかなか味わい深いものがあると思いました。
花は地面に接するようにつけるので、通常は横を
向いています。 ここは急傾斜の法面であったので、
下向きにぶら下がるように花をつけていました。
花は長さ・径とも2cmほどです。 花弁はなく、花弁に見えるのは萼です。 基部付近の萼は合着し壺状の萼筒を形成します。 本種の萼筒は半球形の台形で、長さ・直径とも約1cm。 先が著しくくびれるが特徴です。 まるで紐を絞めた巾着袋のようにくびれています。
3個の萼裂片は卵状楕円形で開出し、先はやや鈍頭、縁は少し波打ちます。 内側は暗紫色で、縁取りは淡い黄白色です。
花に近寄ってみましたが... 思った以上に開口部が小さい! 花を持ち上げた指の指紋から推測すると、開口部の直径はせいぜい2mmほどと思います。 萼筒内には12個の雄しべと6個の花柱があり、萼筒内面には縦15個、横2〜3個の隆起線があるはずなのですが... まったく見えませんでした。 萼裂片の内面は横じわが目立ちました。
2015.11.23 掲載