本州の日本海側(山形県〜福井県)の多雪地帯に生える、常緑の多年草です。 葉は長い柄があり、長さは6〜12cmで、卵状広楕円形または卵状ほこ形... というよりハート形といった方がわかり易い。 葉には光沢があり両面とも無毛、斑紋があるものとないものがあるようです(斑紋がないものにはまだ出会っていません)。
本種はギフチョウの幼虫の食草としても知られています。 ギフチョウはコシノカンアオイの葉の裏に卵を産み付け、幼虫はその葉を食べて育ちます。
初めて見た時の印象は、「花がデカ!」です。 それまで見たことのあるカンアオイの仲間の中では、最大級に大きいと思いました。 花(萼片)の直径は3〜4cmほどあります。 花色は暗紫色で、とても地味ですが、大きいので迫力があります。
このように花は地面に接し、まるで転がっているように咲いています。 しかも地面と同化してしまいそうな色ですから、空を飛ぶ昆虫にとっては、さぞかし見つけにくいでしょう。 送粉者は、空を飛ばずに地面を歩いている昆虫かも知れません...。
しかし最近の研究で、仲間のタマノカンアオイの送粉者は、空を飛ぶキノコバエという小さな昆虫であるとわかったそうです。 本種においてはまだ解明されていませんが、今後研究が進めば解明されることでしょう。
萼筒口も大きいですね。 萼裂片の長さは12mm程度、
基部の幅は14mmほど。 萼筒の内面には15本の縦の隆
起線があり、格子状になるそうです。 写真ではよく見え
ません。
白っぽく見えるのは、花粉でしょうか。
萼筒は卵状球形で、長さ、幅とも約1.5cmです。
2015.11.15 掲載