アブラナ科の花といえば十字型の4弁花で色は白色か黄色、というイメージが強かったですが、この花は美しい紅紫色をしていました。
山野の日当たりのよいまばらな草地や路傍、海岸の砂地などに生える越年草です。自生地は極めて限られ、なかなか見ることができません。 2007年時点では茨城県、山梨県と広島県で生育が確認されています。 かつては千葉・神奈川・長野・静岡の各県にもいたようですが、絶滅したそうです。 環境省が絶滅危惧1B類に指定しています(近い将来における絶滅の危険性が高い種)。
茎は直立して、高さ15〜50cmになり、ときに分枝します。
茎にはまばらに白っぽい短毛が生えます。 葉は線状披針形で長さ
2〜8cm、両端は細まり、2〜4対の小さな鋸歯があるか、全縁です。
茎の基部の葉には、短い柄がありました。
茎と葉の一部をトリミングしてみました。 葉の両面と縁に
白っぽい毛がまばらに生えます。 葉は主脈がある中央部が
低くなっています。 降雨の際に茎に雨水を集めるような構造
に見えました。 葉の基部に托葉も見えます。
この自生地は海岸の砂地です。 株数は多いとは思えません
でした。 このような環境は全国にまだたくさん残されている
ように思えるのですが... 絶滅が危惧されるほど数を減らして
しまっているのは、生育するための条件がすべて揃っている
場所が激減しているということなのでしょう。
茎の先に総状花序をつけます。 花の直径は1cmほど。
花弁は柔らかい紅紫色で、少し濃い色の脈が美しい。
萼片は直立し、長楕円形で長さ3〜7mm。花期は6-8月です。
果実は線形で長さ2〜6cm。 種子は1列に並ぶそうです。
2012.06.27 掲載
2012.08.30 環境省レッドリスト2012年見直し版に従い、絶滅危惧カテゴリーを1B類から1A類(危機的絶滅危惧)にランクアップした。
BOGGY (月曜日, 02 7月 2012 08:00)
おはようございます。
ハナハタザオ初めて拝見しました。
アブラナ科の野草は身近に沢山ありますが、ハナハタザオは見たことがありません。
色付きの花なのですね。
沢では自生のワサビやクレソンの花も見ますが白花ですもんね。
先週山室湿原という所でカキランやトキソウを見てきました。
これからリポートを纏めるところです。
hanasanpo (月曜日, 02 7月 2012 11:13)
ハナハタザオは薄い紅紫色なので、驚きでした。
残念ながら生育地が非常に限られ、なかなか見ることができない花になってしまったようです。 国営公園は園芸種で広大な花畑を作ることばかりに精を出さず、在来品種をもっとしっかり守ってほしいものです・・・
山室湿原、訪れたことはありませんが、素晴らしい湿原のようですね。
カキランやトキソウ、いいですね~ お花のレポートを楽しみにしています。