渓流沿いなど、山地の湿った場所に生える高さ20〜50cmの多年草。 北海道〜九州に分布。 名にタデが含まれますが、タデ科ではなくアカバナ科。 名の由来は谷間に生え、葉の形がタデに似ているから。
全体がほぼ無毛。 茎は直立し、茎の節間の基部は紅色を帯びます。
葉は対生し長卵形、先は尖ります。 浅い波状の鋸歯があります。 葉の基部は円形〜浅い心形です。 よく似たミヤマタニタデには、もっと鋭く深い鋸歯があります(次の写真)。
上はミヤマタニタデです。 タニタデよりも葉の鋸歯が深く、先端が鋭いです。
タニタデの花色は白色〜淡紅色。 萼片、花弁、雄しべともに2個。 花柱は1個で先端が2裂。 花柄はほぼ無毛。 萼片は花弁よりやや長く、外面は赤褐色。 花弁は先端が浅く3裂します。 しかし切れ込みの深さは花弁の長さの1/10〜1/5程度で「裂けている」とはいえないほど浅いものも見かけます。 花のすぐ後にあるのは、かぎ状の刺毛に覆われた子房です。 花期は7〜9月。
果実は長卵形の堅果で、花期のときからあった、先がかぎ状に曲がった刺毛が密生します。 中に種子が2個入っていますが、熟しても裂開しません。
上の写真の花は長らくこのページに掲載してきましたが、花弁が2裂しています。 しかしその点を除いては、葉・茎・花ともタニタデの特徴と合っており、近縁種のミヤマタニタデ、ミズタマソウ、ウシタキソウとは異なると思います。 悩ましい限りですが、掲載しておきます。
2013.02.- - 掲載
2018.03.30 全体を見直し写真と文を追加し、簡易版から正式版に変更。