6月26日(土) 横須賀市 タシロラン
以前より見たかったタシロランを見に行くことにした! 横須賀方面に咲くという情報を得た。 先週末の東北と比べたらすぐ近くに思える。 今日の花さんぽポイントは3カ所。境内近くにケイワタバコが咲くという山寺、タシロランが咲くらしい公園、そしてタシロランの第二候補地として、観察報告がある岬を選んだ。 いずれも初めて行く場所だ。
まず自宅から見て一番手前にある山寺に向かった。 事前調査では山域はさほど広くなく周りは住宅地になっており、都市部の中にある開発から逃れた場所、というイメージを持った。 車で寺まで行けそうだ。 しかし現地近くに着くとなぜかナビの調子がおかしくなり、当てずっぽうで入り込んだ道はすぐに車が通れない狭さになりUターン。 山を回り込み反対方面の道に入るも、車道はすぐになくなってしまった。 仕方がないので歩き出す。 寺まではさほどないハズだ。
勝手に「舗装された歩き易い参道」を想像していたが、見事に外れた。 福祉施設の横を通り過ぎるといきなり岩がむき出す道になった。 参道というより登山道と言った方が正確か。 植物の種類が多そうでなかなかいい道ではあるが、寺まではある程度時間がかかるとみた。 ケイワタバコの群生も見たいが、今日の第一目的はタシロラン。 今回は断念し、次のポイントに向かうことにした。 こういう時の決断は重要だ。
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この道ではオオバジャノヒゲ(大葉蛇の髭、ユリ科)が咲いていた。 後で調べたらなんとお初の花でした。葉は普通のジャノヒゲよりずっと太く、大きかった。 花茎もすっく!と上に延ばして花も大きいので、ジャノヒゲのように花が葉に埋もれてしまうことはない。
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第2ポイントの公園に着いた。 まず出迎えてくれたのが、ミズキンバイ。 アカバナ科チョウジタデ属の植物。美しい花だった。環境省RL 絶滅危惧Ⅱ類(危急)に指定されている。 かつては河川、水田や水路に群生していたらしいが、水域の埋め立てや除草剤の影響で激減、絶滅に瀕している。浮葉~抽水植物(水生植物のうち、水底に根を張り、茎の下部は水中にあるが、茎か葉の少なくとも一部が水上に突き出ているもの)。
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ミズキンバイのいた湿地のすぐ先にハンゲショウが群生していた。 公園を管理しているNPO法人の方が毎年アシを取り除いているので、群生が維持されているとのことだ。
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テイカカズラ、ムラサキシキブなどの花も咲いていた。
なんと、コクランがいた! やや花期を過ぎていたがまだ花をつけていた。 コクランは果実は見たことがあるが花は初めてで、感激!。黒蘭と言っても黒ではなく赤紫色だった。クモキリソウ属なので花の形はクモキリソウに似ている。 大きく張り出した胸のように見える部分が唇弁。 後ろ側でぴょこんと尾のように立っているのが背萼片、下へ伸びているのは側花弁で、側花弁と唇弁の間に見えているのが側萼片(ちょっと見えにくい)。真ん中でエイリアンの頭のように立っている黄色い部分がずい柱。
それにしても暗い... ピントが合わないったらありゃしない。 すみません、全部ピンボケです。
いました、タシロラン!
いました〜見れました〜タシロラン! 数株、いました。 でもちょっと早過ぎた! 花はやっとこさ地面から首を持ち上げようとしているところで、うなだれて見れた。
う〜ん、見ることができたのは嬉しいが、もうちょっと咲いた時の雰囲気がわかる花が見たいなあ! ということで、第2候補地である岬に懸けてみることにした。
車を飛ばして岬に着いたのが午後4時少し前。 有料駐車場があったので入ろうとすると管理人のおじさんが「5時に閉めるけど、いいの?」と聞く。 5じいぃ?なんでそんなに早く閉めちゃうんだよ! と思うが慣れない場所で路駐も心配なので覚悟を決めて金500円也を払って車を停める。 いきなりタイムリミットがあと1時間となってしまった!
身支度を整える間もなく早足で歩き出す。 でもどこを探したらいいんだ? この岬のどこかで咲くのは確かと思うが、それ以上の情報を得て来なかったことが悔やまれる。 ふと見ると目の前に観光案内所があった。 これだ!ここで聞けばいいと飛び込む。
中には岬周辺の風景や花の写真が飾ってあったりするが、素早く目を走らせるとタシロランの写真はない。 目指すガイドの女性が他の観光客相手にバスの乗り換え方を説明しているので、早く終わらんかいとそばを動物園のクマのように行ったり来たりして待つこと2分。 やっと番が来て「あの、タシロランが見たいのですがどこに咲いていますか?」と聞くと、女性はポカンとした顔でこちらを見て10秒ほど沈黙した後「たしろ...らんですか?それって花ですか?」と。 あ〜ダメだ〜この人わかってない! 役に立たないガイド!などと内心思いつつ、岬の山への一番近いアクセス方法を教えてもらい案内所を飛び出す。
残り時間50分足らず。 早足で散策路の入り口を目指す。 すぐそばが海岸で、海岸性植物も探してみたいと思うが今はそんなヒマはない。 50分以内に花を探し、撮影し、駐車場まで戻らねばならないのだ! 暗くなって来た。雨もポツポツ降り出した。 焦る焦る。「今日はダメかも」という気持ちと「必ず見つける!」という気持ちが交錯する。
ところが! 散策路に入ってたったの5分、目一杯サーチモードにしていた目が、地面の白っぽい物体を捉えた。 タシロランだ〜 発見!! しかも立ち上がって花も開いている! やりました〜見つけました! 早く見つかってよかったよ〜
出逢えたタシロランの写真を8枚並べます。
和名は発見者の田代善太郎氏にちなんで付けられた。 山地や丘陵地の常緑樹林下に生えるラン科の腐性植物。 葉緑素を持たないため全体がやや黄色味を帯びた白色。 唇弁や茎の一部に淡い紫色の斑点があった。 分布は本州(関東地方南部以西)、四国、九州、沖縄。環境省RDB 準絶滅危惧種(NT)。
こんな美しい薄ピンクの個体もいた。光の加減なのか?それとも
カメラが近づき過ぎて、恥ずかしがって赤くなっているのかな?
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目的の花を見ることができて、急に気持ちに余裕が出て来た。 もう少し暗くなって来たが、駐車場に戻り問題を解決して、少し海岸沿いを見て歩くことにした。 ハマボッス、ハマダイコン、タイトゴメ、ツルナ、オニヤブマオなどの海岸性植物を観察することができた。 ハマボッスの花はお初である。 サクラソウ科で、しかもオカトラノオ属とは驚きだ。 オカトラノオとは似ても似つかない姿だと思う。 ハマダイコンはピンク色と白色の花が咲いていた。
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海岸性植物は勉強し始め。 名前がわからないナゾの植物もいた。
どなたかおわかりになったら教えて下さい。
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ナゾの植物1-1、1-2は葉に深く細かいシワがある。 触るとボツボツというか
ザラザラした感触。クリーム色の花穂を立てていたが花はまだ咲いていなかった。
➔ 後日ラセイタソウと判明
ナゾの植物2-1、2-2は終わりかけのトベラの花かと思ったがトベラは5弁花
なので違うと思う。
➔ 後日(といっても5年後の2015年10月8日に)イヨカズラと判明
➔ イヨカズラも大間違いで、マサキ(カイガンマサキ)に訂正。 2018.04.19
ナゾの植物3は、マメ科?わからない。どうも外国人(外来種)の雰囲気を
漂わせている気がするが、わからない。日本人(国産種)かも知れない。
➔ 読者の方からシナガワハギと教えていただいた。 2018.04.19
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今週末はHiroが休みが一日だけ。 貴重な時間を有効活用するため、駆け足の花さんぽだったが、目的の花も見れたし、思いがけず初対面の花にも出逢えたし、満足な一日でした!
2010.12.25 修正。ミズキンバイを「環境省RDBで絶滅危惧IA類(危機的絶滅危惧)」としたのを「環境省RLで絶滅危惧Ⅱ類(危急)」に修正。2007年環境省レッドリスト見直し版に従った。タシロランの準絶滅危惧は変更なし。
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2011年11月23日 勤労感謝の日 (果実)