3月14日 東京都・高尾山(裏高尾)
今日は、久しぶりの晴天! 最近、週末は雨に祟られていたので花さんぽができず、欲求不満気味だった。 今日は花さんぽらしい、花さんぽができそうだ。 とは言っても明日日曜日はHiroは仕事が入り、遠出はできない。 近場の高尾山に行く事にした。 高尾山は、花の山としてもあまりに有名。 首都圏からのアクセスも非常によく、いくつもの登山道が整備され近年特に人気が高く、人出でごった返す。 昨年はあのミシュランが「三ツ星観光地」に指定したので(余計なことを!)、もうどうしようもないほど人が来るようになってしまった。 我々は大半の観光客が行くリフトやケーブルカーがある「表側」ではなく、山の北側にあり「裏高尾」と呼ばれる方面に足を向けた。
車を10台ほど停められるスペースがあるのだが、この日はあいにく満車。 林道を上り道幅が広くなったところに車を置き、林道入り口方面に戻る方向に歩き出した。
まず出迎えてくれたのが、アオイスミレ。 遊歩道脇に数株、見つけた。
スミレの仲間の中でも、早い時期に咲く。 花弁の周辺が波打って、なかなか開いてくれない。 写真の花は、まるで小さな女の子が首を傾げてこちらを見ているようで、なんともかわいい。
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上の花のアップ。 逆光でとても美しかったので、思わず
近寄って撮った1枚。 白い花弁に見えるのは実は蕚。多数
の白い雄しべはボンボンみたいでかわいい。
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ハナネコノメ (花猫の目) ユキノシタ科 ネコノメソウ属
今日の目的の花の1つ! ハナネコノメは毎年のように見に来ている。 今回は時期が丁度よく、雄しべの紅色の葯(やく)がしっかり残っていて、それが白い萼裂片(がくれっぺん)に映えとても美しい。 小さな花だが、たくさん群れて咲く姿はとても賑やかだ。 花茎は5mm程度。
もう少しすると紅色の葯は消え、やや地味な感じになってしまう。 今回はベストな時期のためか多くのハイカーが見に来ていた。 高尾山では沢沿いの林下に咲いていた。大雨で増水したら水没してしまいそうな場所である。 写真ではたくさん咲いているように見えるが自生地は非常に小さく、限られたものだ。 ほんの少し環境が悪化しただけで消えてしまいそうだ。 なんとかこれからも生き延びてほしい。
写真下側の蕾(つぼみ)の状態は、ずいぶん四角っぽい。 今まで気付かなかった。写真の一番上に、紅色の葯が消えた雄しべが見える。 花粉は黄色ですね。
日影沢のハナネコノメの自生地はこんな感じ⇒
ここから都道を小仏峠方面に向かうとすぐに中央本線の下をくぐるが、そのガード下の沢にも僅かながら咲いているのが見える。
さらに線路をくぐってすぐ右折し(その場所は電車の写真を撮る人たちのスポットらしい)、中央高速の下をくぐって進むと、右手に梅林があり、やがて林道に入る。 この林道は木下沢と書いて「こげさわ」と呼ぶが、ここにも小さな群生がある。
日影沢より寒いのか、やや花の時期が遅い。 日影沢の花が葯を落としてしまっていても、こちらの花はまだ残っていたことがあった。
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コチャルメルソウ (小哨吶草)
ユキノシタ科 チャルメルソウ属
ハナネコノメの自生地近くに群生している。 なんとも変わった形の花である。 5つの蕚片の間から、やや赤味がかり羽状に咲けた花弁が出ている。 見る度にTVのアンテナを連想する。写真をクリックして拡大して見て下さい。
名の由来は開いた果実の形が楽器のチャルメラに似ているからと言う。
コチャルメルソウ ⇒ チャルメラ ⇒ 明星チャルメラ ⇒ ラーメン と連想し、妙にラーメンが食べたくなったりする。
コチャルメルソウの蕾。 成長してしまうと長く茎が伸び、地面近くにつく葉と茎の先の方につく花を同時に撮るのは難しい(離れて撮ればいいんだけど)。 茎が伸びていない若い状態なら一緒に写せる。 よく見ると葉の表面にも茎にもけっこう長い毛が生えている。 かなり毛深い花だ。
こんな小さな花には、どんな昆虫が来て花粉を運ぶのだろう? さっぱりわからないので研究している専門家に聞いてみた。 キノコバエという虫が来るらしい。 あまりたくさんいる昆虫ではなく、また人にまとわりつく事も無いので、じっくり花の前で待っていないとなかなか出会えないとのことだ。
さて、他にも毎年ここで観察している定番の花がある。まずはヨゴレネコノメ。
ハナネコノメと同じく ユキノシタ科 ネコノメソウ属。 ハナネコノメの艶やかさに比べると同じ科・属なのになんとも地味である。 姿が渋い。渋過ぎる!でもこの渋さが好きだ。
汚れ猫の目 と書く。 この味わい深い花が「汚れ」と命名されてしまったのは、ちょっと残念。 もう少し違う名前は思いつかなかったのかな... しかしこの名前は一度聞いたら忘れない。
ムラサキ科 ルリソウ属
駐車スペースから林道をブラブラと10分程高尾山方面に向かったあたりの沢筋にいる。 今にも崩れ落ちそうな崖にへばりつくように10株ほどがいる。 株の数はやや増えて切る気がした。 残念ながら花はまだ咲いていなかった。 今回は時期が早くごく小さな花芽が観察されただけだった。
花が咲くにはあと1週間ほど待たねばならない感じ。
定番の花の観察はこれでおしまい。 実は今日は別の目的もある。 少し離れた場所の、カヤランの状態を確認するのだ。 車で5分ほどの距離を移動した。
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カヤラン (榧蘭) ▶
ラン科 カヤラン属
今日は「梅祭り」が開催されており、この静かな裏街道は普段から比べると尋常ではない人の多さだ。 祭りだから仕方がないか。 狭い車道の両脇にリュックを担いだ人たちが大勢歩いているのを、注意深く避けながら来た道を少し戻る。 梅の花見も兼ねて、高尾山や小仏峠に登って来た人々であろう。
車を無料駐車上に停め、梅には目もくれずある場所を目指す。 そして...いたいた、カヤランちゃん! 昨年あるネットの情報でこの界隈にいるのを知り、歩き回ってやっと見つけたものだ。 確か...Hiroが見つけた。 カヤランはずっと見たかったので意外な場所で見つけられ小躍りしたくなるほど嬉しかった。 しかし花の時期は終わっていた。 今回は逆に早過ぎたがそれは承知の上。 無事であることを確かめられた。 しっかり花芽をつけていたが、花を見ることができるのはまだ少し先のようだ。 あ〜早く見たいな〜!
この写真は逆光になってしまう側から撮っている。 順光で撮った写真を載せたいところだが、それだとどうしても、ある特徴的なものがバックに写ってしまう。 簡単に場所を特定できてしまう可能性があるので掲載は避けます。
どうでもいいことだが、カヤランと聞くとどうしてもあのヘルベルト・フォン・カラヤンを思い出してしまうのは、私だけだろうか?
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昨年はこの地に咲く別なランの情報も得ていた。 ヨウラクランである。 見たことがないので、ぜひ一度見てみたい。 梅の木に着生しているとの情報だった。 詳細な場所はわからないが、写真の様子からあまり高い所ではなく、手の届く高さにいるのではないかと推測。 昨年夏、Kenは一人でヨウラクランを見つけるべく探索した。 川沿いの道を片道1km位(?)を2往復。 夏の暑い日、梅の木という木を1本1本、上から下まで見ていく、アセダクシラミツブシ作戦。 このあたりはやたらと梅が多く、軽く100本くらいは見たのではないかと思う。 でも...見つけることができなかった。
今日もそのコースの一部をブラブラ歩いた。 途中の小さな梅園なども覗く。 一応、梅の木の着生植物に目をやるが、いるのはシダ植物のノキシノブばかり。 昨年あれだけ探していなかったのだから、簡単に見つかるワケがないっしょ。 しばらく行くとやや開けた場所に出た。 「あっ?」Hiroが声をあげる。「いた!ヨウラクラン!」 なあにいぃぃ!? 近寄ると、見慣れない草が木にへばりついている。 これが、ヨウラクラン? ええーイメージと違う! 誰か「ノキシノブにちょっと似ている」と言わなかったっけ? ぜんぜん似てないじゃん! あー勉強不足。 しかしこの木も昨年チェックしたハズなのに、なんで気がつかなかったのだろう?
Hiroに先を越されて見つけられちょっと悔しいが、その気持ちを抑えて観察に入る。
葉は2列互生。 葉の根元が重なり合うようになっている。 長さは1cmくらい。 プクプクした見た目で、多肉植物を連想した。 葉の先端部から花芽が覗く。 昨年のものと思われる、白っぽく枯れた長い花序が垂れ下がっている。 この花序のトゲトゲの先に一つづつ花がつくのであろうか? だとすると、相当に小さい花に違いない。 こんなに小さくても、ランの形をしているのだろうか? 小さすぎて、細かいところはちょっと省略してしまったりしていないだろうか?(まさか!) 今から楽しみである。 初めて見ることができた。 花は咲いていないが「新種」認定である。
出会えた花たちのリスト
No. | 花 の名 | 漢字名 | 科名 | 属名 |
1 | アオイスミレ | 葵 菫 | スミレ | スミレ |
2 | アズマイチゲ | 東 一華 | キンポウゲ | イチリンソウ |
3 | カヤラン(花芽) | 榧蘭 | ラン | カヤラン |
4 | コチャルメルソウ | 小哨吶草 | ユキノシタ | チャルメルソウ |
5 | セントウソウ | 仙洞草 | セリ | セントウソウ |
6 | ニリンソウ | 二輪 草 | キンポウゲ | イチリンソウ |
7 | ノキシノブ | 軒 忍 | ウラボシ | ノキシノブ |
8 | ハナネノコメ | 花 猫 の目 | ユキノシタ | ネコノメソウ |
9 | フサザクラ | 房 桜 | フサザクラ | フサザクラ |
10 | ヤマネコノメソウ | 山 猫 の目 草 | ユキノシタ | ネコノメソウ |
11 | ヤマルリソウ(花芽) | 山 瑠璃 草 | ムラサキ | ルリソウ |
12 | ユリワサビ | 百合 山葵 | アブラナ | ワサビ |
13 | ヨウラクラン(花芽) | 瓔珞蘭 | ラン | ヨウラクラン |
14 | ヨゴレネコノメ | 汚 れ猫 の目 | ユキノシタ | ネコノメソウ |
最後まで見ていただき、ありがとうございます。
おくちゃん (月曜日, 22 3月 2010 20:30)
HP開設おめでとうございます。
ハナネコノメがどうしても見たくて
4年前に日影沢まで出かけたことを
思い出しながら拝見させていただきました。
とっても綺麗な写真を拝見させていただき
沸々と当時の思い出が甦ってきました。
☆⌒(*^∇゜)v ありがとう!
そして これから宜しくお願いいたします。
mnt500saitou (月曜日, 22 3月 2010 20:57)
H&K様
コメント欄の実使用のテストを兼ねて送信します。
だんだん見えてきた気がするのですが、
新しく更新される度に、メールマガジンのe-mailアドレスに登録
すると連絡がくる。そうすると古い版は2007年版のような形で過去の物が見られる?・・・・・・・・・というものでしょうか。
あるいは、旧花さんぽ報は旧花さんぽ報のスタイル?で
新しいメールマガジン方式2010/3/14版以降は今後連続して行く訳ですが
新しい形式になるのでしょうか。
アズマイチゲのアップ写真などは、旧花さんぽ版の衝撃が得られる写真例で
他の花のホームページでは見られないもので、反響が大紀伊のではないでしょうか。
都幾川太郎?
hanasanpo (月曜日, 22 3月 2010 23:22)
おくちゃんさん
HiroKenのKenの方です。
コメント入力をどうもありがとうございます。記念すべき第1号です。
日影沢にいらしたことがあるのですね! 実は、今日も行って来ました。
追って、ホームページ上でレポートしたいと思います。
このホームページはまだ内容も少なく、未熟な状態なのでご案内が早かったかも知れませんが、だんだん内容を充実させていきますので、どうぞ応援をよろしくお願いします。
失礼ながら、ホームページを本日初めて拝見しました。情報量の多さ、充実した内容、美しい写真に舌を巻きました。お手本にさせて頂きたいと思います。
4月3・4日はお世話になります。お忙しいところ恐縮です。
二人とも今からとても楽しみにしています!
hanasanpo (月曜日, 22 3月 2010 23:42)
都幾川太郎さん
コメント入力とご感想をどうもありがとうございます。そして、メールマガジン登録も。
メールマガジンは、アドレスを登録頂いた方に、ホームページの更新やその他お伝えしたいことをメールで一斉に送るための仕組みではないか?と思っています(スミマセン、まだよくわかっていません)。遠からず、試してみる予定です。
写真は、できるだけ大きく掲載したいと思っています。メール配信版でもそうでしたが、web版でも写真のクオリティーとファイルサイズの相反する条件で悩みそうです。 全体の容量は、たった5GBしかないので、あまりファイルサイズが大きい写真ばかり載せると、すぐに満杯になりそうです。しかし小さな写真ばなりや、あまりに画質の低い写真も載せたくないし... 始めたばかりなのにもう悩んでます。
びわ (土曜日, 02 3月 2019 12:00)
数年前花猫を知り ファンになりました。綺麗な写真に今年も会いたくなりました。よごれ猫の目 チャルメラそうは覚えられましたが 他にも珍しいのが沢山。そーと探したくなりました。楽しみが増えたー。���ありがとう���