9月27-28日 秋の暮坂峠と野反湖 p.1/2
Hiroの仕事が変わり、週末に土日を両日休めるのは、月に1回ほどになってしまいました。 今回は久し振りに休みが取れ、私たちのホームフィールドである、群馬県は六合村(くにむら 現 中之条町六合地区)の野反湖に行く事にしました。
なぜ東京小平市在住の私たちのホームフィールドが、そんな遠い場所なのか? 花に興味を持ち始めた頃に訪れ、その素晴らしい自然環境に魅了されました。 現地で知り合えた方の縁で、多くの花たちに出会えたり、写真展を開催させていただいたりもしました。 野山を歩いて花達に出会う楽しさを知ることができた、超お気に入りの場所となったのです。
さて、訪問予定の6日前に急性腸炎というものになってしまい、3日3晩、苦しみました(ゲッソリ)。 このため宿の予約が直前になってしまったのですが、六合村の「宿・くじら屋」さんのご主人は、当日は都合で休業日であったのに、予定を変更し受け入れてくれたのです。 このため人気の宿を事実上貸切るという、贅沢も味わえました。 どうもありがとうございます。
花のレポートは、まずは日本ロマンチック街道、六合村と中之条町の間にある、暮坂峠(くれさかとうげ)周辺から!
暮坂峠に至る県道55号線には途中何箇所か路肩に車を停められるスペースがあります。 休憩も兼ねて車を寄せると、道端には野の花がたくさん咲いていたりします。
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カメバヒキオコシは、秋の山を彩るシソ科の花の一つ。 葉は対生、先端が3裂し、真ん中が細長く伸びて、亀の尾のようになります。 この葉のお陰で同定し易いのです。 茎の先に花穂を立て、長さ1cm位の青紫色の唇形花を多数つけます。 上唇は3列し、斑点はありません。 赤紫色の蕚片もきれいです。
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ヤマハッカの茎の断面は四角形で、稜の上に下向きに短毛が生えます。 葉は対生し広卵形、基部は細くなって柄の翼に続きます。 縁には粗い鋸歯。 花の上唇は4裂して立ち上がり、下唇は2裂して前に突き出し、縁は内側に巻きます。 上唇の内側に、線状に紫色の斑点があるのが特徴です。 右上は白花品です。
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セキヤノアキチョウジの「関屋」とは関所の番小屋の事で、関守のいる家のことです。 関所と言えば箱根の関所が有名ですが、本種が箱根に多く自生していた事から、関屋は箱根の関屋を指します。 秋咲きなので「秋」。 そして丁字はフトモモ科の丁子(スパイスのクローブ)の実が釘の形ようであり、それに花の形が似るからと言われています(または「丁」の字に似るから、らしいです)。 ずいぶん凝った名前を付けたものですね。
細長い茎の先の方に多数の花を付けます。 風が吹くとユラユラ揺れ、撮影困難にになります。 葉は対生します。 花は青紫色で、花冠長は12〜18mmで長〜い唇形。 上唇は4裂し、下唇は浅く2列して舟形になります。 花弁に斑点はありません。
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ミゾソバは比較的簡単に見ることができる花と思うのですが、注目もされず見過ごされることが多い気がします。 実は大好きな花の1つです。 金平糖のような蕾がかわいいし、何より薄ピンクのグラデーションが素晴らしい。 花の色には個体差があり、白に近いものから濃いピンクのものまで、バラエティーに富みます。 こんな小さな花は、思いっきり近づいてじっくり観察しないと、その魅力に気付きません。
左上の写真で葉の形がよくわかります。 葉の基部の両脇にある突起を牛の角に見立て,ウシノヒタイ(牛の額)の別名があります。 花弁に見えるのは、実は蕚片。茎には刺がありますが、触ってもママコノシリヌグイの刺ほどには、痛くないです。
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ナガミノツルケマンは、ひょろっとした高さ1mほどの茎の先に、総状に濃い黄色の花をつけます。 他の植物に囲まれた中でもよく目立ちます。 花の長さは15〜20mm ほどですが、その半分以上が距です。 尚、ケマンソウ科とされることもあるようです。
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サクラタデは、湿り気のある開けた場所に咲きます。 地味な花を付けることが多いタデ科の中で、珍しく薄ピンクのちょっと目立つ花を付けます。 とは言っても、やはり見過ごされてしまうことが多いんだろうなあ。
キバナアキギリの葉は三角状ほこ型で長さ5〜10cm。 花は淡黄色で、ちょっと変わった形です。 顎の脈上には開出毛が目立ち、花冠は長く伸びて2.5〜3.5cm、有毛です。 長く伸びた雌しべは暗紫色で先端は2つに分かれています。
暮坂峠を越えると、六合村です。 今日は花との出逢いを期待し、いつもは通らないルートで野反湖を目指してみました。 この道は白砂川ダムに抜けられる道です。途中「何かいそう!」と感じ車を停めたら、いたいた、道路脇にこんな花がいましたよ。
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コシオガマは、2007年10月に群馬県の桐生市で、1輪だけ咲いているのを見たことがあるので、初対面ではありません。 イネ科の植物の根に寄生しますが、しっかりした緑色の葉も持っているので、光合成も行なう半寄生植物です。 茎・葉・蕚に腺毛が密生し、触るとペトペトする感じ。 花冠はとても上品な薄紅色で、長さは2cmくらい。 上唇と下唇に分かれる二唇形。 お気に入りの花の一つです。
さて、六合村の中を野反湖に向かって進みます。 野反湖に至る国道405号線は、冬期は途中から閉鎖されます。 そのゲートの手前に小さな花スポットがあるので、いつも車を停めてチェックしています。 今日は初対面の花に出逢えました! ラッキー!
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雅楽を演奏する官吏を「伶人」と呼び、花の形が伶人がかぶる冠に似ていることが名の由来です。 花の形は、トリカブトの仲間らしい形をしています。 花弁に見えるのは実は蕚で、花弁は蕚の中に隠れて見えません。 淡紅紫色の蕚片はとっても上品。 全草にアルカロイド系のリコクトニンを含む、有毒植物です。