8月5日 高ボッチ山と入笠山
『信州初花さんぽ』の3日目、最終日。 あっと言う間でした。 もちろん、真っ直ぐ帰宅するつもりはなく、あちこちと寄り道をします。 最初の行き先は、諏訪湖の北6kmほどのところにある、高ボッチ山にしました。 以前より、ちょっと変わった名前のこの山が気になっていたのです。 場所は、下の地図でご確認下さい。
国道20号線から脇道に入りしばらく行くと「高ボッチ・鉢伏高原スカイライン」に入ります。 上のストリートビューのように狭く、「スカイライン」という名前から抱いたイメージとは、かなり違っていました。 対向車に気を付ける必要はありますが、のんびり走ればとても気持ちの良い道です。 右上の✕印をクリックすると地図表示に切り替わります。
高ボッチ山の「ボッチ」とは、あの宮崎駿監督の長編アニメ「もののけ姫」に出て来る「デイタラボッチ」ような巨人の意味があるアイヌ語で、「高ボッチ」の名前の由来の一つは、「巨人が腰を下ろして一休みした場所」という意味だそうです。 なぜ、アイヌ語が語源の名前が、ここ信州の山に付けられているのでしょうね? それはともかくとして、とても気持ちのよい高原です!
車を駐車場に停め、散策路を巡って高ボッチ山山頂を目指します。 と言ってもこのように緩やかな傾斜の道をぶらぶら登っていくと、ほどなく山頂に着いてしまうのです。 車で山頂付近まで上がれてしまうので、非常に楽チンです。 花さんぽでは特に山登りの達成感は求めていないので、楽に目的地に着けるのは大歓迎です。
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マルバダケブキは高さ1m以上にもなり、花も直径8cmほどあるのでとても目立ちます。 舌状花は10個ほどで、黄色でややみかん色を帯びます。 私たちはこの花があまり好きではありません。
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ノダケの白花品は、初対面です。高さは1.5mほどあり、茎は高く直立し上部で分岐します。 普通のノダケは暗紫色の花をつけますが、本種は白色です。
遠目で見て「クガイソウかな?」と思ったのですが、近づいてよく見ると違う花でした。 クガイソウは4〜8枚の葉が輪生しますが、本種は2個の葉が対生します。 花の形もずいぶん違い、本種はクワガタソウを連想させました。 ヒロハトラノオの可能性も検討しましたが、葉の鋸歯があまり尖らないことと、葉に毛がないことからヤマルリトラノオとしました。 初対面でしたが、とても美しい花でした。
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ヤマノコギリソウは姿が似ているノコギリソウと比べ、頭花が少なく、舌状花の長さも3㎜以下と小さいので、ひ弱な感じを受けます。
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タチコゴメグサは、野反湖ではお馴染みの花。 花冠の長さは6〜7mmでとても小さいですが、よく観察するととても美しい花とわかります。
シロニガナは名の通り白色の花をつけるニガナです。 花色以外はニガナとそっくり。 舌状花は5~7個。 8~11個のものはシロバナニガナといい、花色が黄色の品種は、ハナニガナです。 詳しくはこちら>>。
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イワアカバナは山地の草原や岩場の湿った場所に生えます。 岩場に生え、秋に葉が赤くなることが名の由来です。 花は白色から淡紅色、先端が2浅裂する。 柱頭の形状は球状。 よく似たアカバナの柱頭は棍棒状です。
ヒメシロネは、高さは30-70cmになる多年草。 葉は対生し、ほとんど葉柄がありません。 上部の各葉腋に小さな白い花を密につけます。 シロネより小型なので、姫シロネの名があります。
シラヤマギクは、初対面の花です。いえ、きっとどこかで目にしていたと思いますが、同定したのは初めでなのです。 舌状花がまばらで、スカスカした印象の花でした。
一昨日霧ヶ峰で見つけたバアソブをまた発見! としばらく思い込んでイたのですが、なんとなく違う感じもします。 葉に毛が無い... もしかすると、ジイソブ? バアソブとジイソブ、識別が難しいですね〜。
さて、お次の山に向かいますが、その前に恐い? 話を一つ。 燃料が残り少なくなったので諏訪湖近くのガソリンスタンドに入ってガソリン(ハイオク)を満タンにしたのですが、なんと1リットルが200円でした! 折しも原油価格の高騰でガソリン価格も値上がりしていた時期ではありましたが... あまりの高さにうな垂れました。 今まで経験した中で最高額でした。 それ以後、諏訪湖近辺ではなるべくガソリンを入れないようにしています。
さて高ボッチ山に別れを告げ、初めてのお山、入笠山にやってまいりました。 標高1740m付近に小さな湿原が広がります。 スズランがたくさん咲くそうですが、時期は過ぎているし、スズランには特に興味はないので、何か花はいないかと探します。
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ホソバトリカブトがいました! 初対面です。 葉は3深裂し、側裂片はさらに深く裂けます。 確かに葉が細い。 花柄には、開出毛が生えます。 有毒植物。
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湿原では、美しいチダケサシとクサレダマが競演していました。 花は他には遠くにヤナギランや開花前のサワギキョウ以外は特に目ぼしいものは目につきませんでした。
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クサレダマは「腐れ玉」ではありません。 木本のマメ科のレダマに似ていて、本種は草本であることから、草連玉。 オカトラノオ属の植物です。
木に朽ちたボロ布が引っかかっているように見えるのは、サルオガセです。 ブナ林など落葉広葉樹林の、霧が多く発生する森林の樹上に着生する地衣類です。 高山に多いように思います。 地衣類は、菌類と藻類の共生体です。 サルオガセは葉緑素を持ち光合成も行ない、空気中の水蒸気を吸って成長するそうです。 中国人は、なんとこれを食っちまうそうです。 きっと、うまくはないでしょうね。
『信州 初花さんぽ』もこれで終わりです。 とても多くの花、しかもお初の花に出逢うことができました。 大収穫です。 信州、すばらしいです。 また来ようねと、Hiroと言い合いました。
2015.05.09 掲載
( 当時のレポートを基に作成し直しました )
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ヤマルリトラノオ
Dairy-Hiroダス
ゆき (土曜日, 09 5月 2015 19:46)
こんばんは、HIROさん、高ぼっちの花
ゆき (日曜日, 10 5月 2015 00:30)
こんばんは、HIROさん、高ぼっちの花散歩、はじめてのお花も、見れて嬉しいです。ありがとうございます。蔓人参のお花、いいですね、見てみたいお花でした。そして、HIROさん、夏えびねの自生も、早春に、確認しに、行き、残念ながら、盗掘されてました。去年は、少しずつでは、ありましたが、そのほかは、川沿いに、トリカブトの群生が、ひろがってました。白に近い色のタイプです。
HiroKenのKen (日曜日, 10 5月 2015 00:33)
ゆきさん、こんばんは。
コメントをありがとうございます。なぜか表示が途中で切れていたので、メールからコピーして上に貼らせていただきました。
ナツエビネは残念でしたね。盗掘は本当に罪なことと思います。もういい加減にやめてほしいですね。
白に近いトリカブトとは? 見てみたいです!
尚、「Dairy-Hiroダス」はHiroが書いていますが、「花さんぽ」は私Kenが書いております。複雑ですみません。
ゆき (日曜日, 10 5月 2015 14:47)
こんにちは、kenさん、HIROさん、メールの途中で、きれてしまいました。すいますん、トリカブトのお花
(かわちぶし)ではないのかな?と思ってます、数年前は、沢や川沿いに、ちょこっとしかなかったのに、凄い繁殖力?七里川の川沿いです。詳細は、控えておきます。
HiroKenのKen (月曜日, 11 5月 2015 04:15)
カワチブシでしたか。トリカブトの仲間は本当に識別が難しいですね。
最終的には花を分解して観察しないとわからないようですが、猛毒の植物でもあり
私たちのような素人はそこまでしません。
千葉にはまだまだ自然が多く残されていますね。
ayaya (日曜日, 12 7月 2015 15:49)
今日はお疲れ様でした。
またいつかお会いできるといいですね。
HPゆっくりお邪魔いたします。
帰り道でアオバズクを撮影して帰宅いたしましたよ。
HiroKen (日曜日, 12 7月 2015 17:31)
ayayaさん
今日は暑い中、本当にありがとうございました。
おかげ様で、どうしても見ることができなかった花を見ることができました。
ご案内がなければ、見つけることは到底不可能でした。
またどこかでご一緒させていただきたく思います。
ぜひ、よろしくお願いいたします。
アオバズクを撮影されたのですか! あの山域は本当に貴重ですね。
いつまでも守られていてほしいものです。