6月14日 奥只見と帝釈山 2/2
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これがオサバグサです! ずっと見たかった花に出会えました!
登山口からすぐの斜面に群生していました。下山して
きた登山者に尋ねると、この辺りが一番多いそうです。
第一印象は「この葉は、なんだ〜!?」です。 櫛の歯状に深裂した葉は、とてもケシ科(註)とは思えず、どう見てもシダ類の葉です。 花がなければ「これはシダの一種だね」と思ってしまいそうです。
ケシ科オサバグサ属。 亜高山帯の薄暗い針葉樹林の林床に生える、1属1種の多年草。 日本特産の植物です。 地下茎を伸ばして広がります。 葉はすべて根生します。 筬葉草の「筬(おさ)」とは、織機に使われる櫛の歯状の付属具のことで、細かく切れ込んだ葉を例えたものだそうです。
清楚な白い花を下向きに多数つけます。 なんともかわいらしい
花です。 この葉の形とともに、一度見たら忘れられないでしょう。
風が吹くと、一斉にチリチリチリ〜ンと、涼し気な音を立てます。
...ウソです。 でも本当に鈴の音が聞こえてきそうな気がしました。
環境省は絶滅危惧に指定していませんが、分布域である本州中部
地方以北の多くの県で絶滅危惧l・ll類に指定されています。 数を
減らしている最も大きな原因は園芸目的の採集、つまり盗掘だそう
です。 個人から業者まで。 盗掘は絶対にやめてほしいですし、
そういったものを購入する人がいることが、盗掘を助長する一番の
原因になると思います。 本当にやめてほしいです。
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オサバグサ観察で大半の時間を費やしてしまい、帝釈山登頂や、その先にある田代湿原へ行くのは次回のお楽しみにすることにしました。 登山口付近では、サンリンソウ、ゴゼンタチバナ、サンカヨウ、ミヤマエンレイソウ(シロバナエンレイソウ)なども自生していて、たっぷりと花さんぽを楽しめました。
今日の花さんぽはこれでおしまい。 檜枝岐村の民宿に
宿泊し、明日は尾瀬ヶ原湿原で目的の花を目指します!
註:従来のエングラー/クロンキスト体系ではケシ科とされていました。APG-ll分類体系
(2003年)では独立したオサバグサ科( Pteridophyllaceae )になりましたが、最新
のAPG-lll分類体系(2009年)では、オサバグサ科を含めるケシ科、とされています。
APG分類体系は現在も確定していない項目があるので、今後また変わる可能性があり
ます。
No. |
写真 掲載 |
和名 | 漢字表記 | 科名 |
1 | ウスユキソウ(新芽) | 薄雪草 | キク | |
2 | オオバキスミレ(果実) | 大葉黄菫 | スミレ | |
3 | ◯ | オオバミゾホオズキ | 大葉溝酸漿 | ハエドクソウ |
4 | ◯ | オサバグサ | 筬葉草 | ケシ |
5 | オドリコソウ | 踊子草 | シソ | |
6 | カニコウモリ(葉) | 蟹蝙蝠 | キク | |
7 | ◯ | クルマバソウ | 車葉草 | アカネ |
8 | ◯ | ゴゼンタチバナ(咲き始め) | 御前橘 | ミズキ |
9 | コミヤマカタバミ | 小深山酢漿草 | カタバミ | |
10 | ◯ | ササバギンラン | 笹葉銀蘭 | ラン |
11 | ◯ | サンカヨウ | 山荷葉 | メギ |
12 | ◯ | サンリンソウ | 三輪草 | キンポウゲ |
13 | ショウジョウバカマ | 猩猩袴 | シュロソウ | |
14 | ◯ | タケシマラン | 竹縞蘭 | ユリ |
15 | ◯ | ツルリンドウ(果実) | 蔓竜胆 | リンドウ |
16 | ◯ | トリガタハンショウヅル | 鳥形半鐘蔓 | キンポウゲ |
17 | ニョイスミレ | 如意菫 | スミレ | |
18 | ヒロハコンロンソウ | 広葉崑崙草 | アブラナ | |
19 | ホウチャクソウ | 宝鐸草 | イヌサフラン | |
20 | ミツバオウレン | 三葉黄蓮 | キンポウゲ | |
21 | ◯ | ミヤマエンレイソウ | 深山延齢草 | シュロソウ |
22 | ミヤマキケマン | 深山黄華鬘 | ケシ | |
23 | ◯ | ラショウモンカズラ | 羅生門葛 | シソ |
2013.12.05 掲載
(撮影当時のレポートを基に作成し直しました)