6月1日 都市近郊の希少植物
大都市の河川敷にある公園を散策しました。 市民の憩いの場であり、休日にはスポーツに興じる若者たちや、バーベキューを楽しむ家族連れなどで賑わいます。
公園の端っこに忘れ去られたように、ほぼ手つかずの雑木林が残っていました。 たまたまそばを通り、ちょっくら覗いてみるかと立ち入ってみると、意外なほど多くの植物に出会えました。
なんとチョウジソウが咲いていました。 群生と呼べるほどの数です。 思わぬところで初対面。 こんな市街地近くの公園で、希少な植物に出会えるとは思いませんでした。 園芸品種のホソバチョウジソウが逃げ出して野生化したことも疑いましたが、葉が丸みを帯びているので、本種は日本に自生するチョウジソウのようです。 河川敷などのやや湿った場所に生える多年草です。葉は互生し、先端は尖ります。
チョウジソウは環境省が準絶滅危惧に指定していますが、
それは全国レベルの話しで、多くの都道府県で野生絶滅した
か、もしくは絶滅危惧種に指定されています。 ここ埼玉県
では、全県レベルで絶滅危惧ⅠB類に指定されています(2011
薄青色の清楚な花です。 でも他の多くのキョウチクトウ
科の植物と同様、全草にアルカロイドを含む、有毒植物です。
希少種に出会えたのは嬉しいのですが... ここは誰でも簡
単にアクセスできる場所なので、盗掘が心配です。 開発さ
れやすい低地の湿地という場所で、やっとの思いで咲いてい
るので、盗掘は絶対に止めてほしいと思います。 ここで見
るだけにして!
ところで名の由来は図鑑には「花の形がフトモモ科の
チョウジ(丁子)の花に似ているから」とあります。
しかしネットでチョウジの花を見ると太い釘(=丁子)
のような形で「似ている」と言うには少し無理があると
思いました。
「花を横から見ると丁の字には見えるから」という説
もあるようで、こちらの説は納得できます。
.
初対面でした。 渡良瀬遊水地では多数見られ珍しくは
ないそうですが、絶滅危惧であることに違いはありません。
なんとかここでも生き延びてほしいものです。
上の植物は、花がほとんど終わってしまっていました。 シソ科であることはすぐわかりますが、名前が思い出せませんでした。 帰宅して調べて、ミゾコウジュとわかりました。 この花とは2度目の対面です。 初対面は2007年5月、渡良瀬遊水地でした(花さんぽレポートは作成していません)。
淡紫色の美しい花を多数つけます。 よく見るとけっこう毛深い。 唇弁に濃紫色の斑点が4つあるのが特徴。 図鑑には雄しべの葯隔の上下の長さが等しいのも特徴、とありましたがルーペを使わないとサッパリわかりません。
ミゾコウジュは、環境省RDBで準絶滅危惧に指定されています。 このランクは、「現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては絶滅危惧に移行する可能性のある種」です。
当「HiroKen花さんぽ」には、「絶滅危惧ll類(VU)」などという表現が時々出てきますが、一般の方にはほとんど訳がわからないと思われます。 ここで、国際自然保護連盟と、日本の環境省が定めたレッドデータブックのカテゴリ定義の対応表を載せておきたいと思います。
私たちも専門家ではないので詳細は理解できていません。 表の説明の欄を見ると、少しはイメージが湧くのではと思い、下に掲載します。
上の表については、このページでもう少し詳しく説明しています。
No. |
写真 掲載 |
和名 | 漢字表記 | 科名 |
1 |
イボタノキ |
水蝋樹 |
モクセイ | |
2 |
キツネアザミ |
狐薊 | キク | |
3 | サクラソウ(果実) | 桜草 | サクラソウ | |
4 | スイカズラ |
吸い葛 |
スイカズラ | |
5 | ◯ | チョウジソウ | 丁字草 | キョウチクトウ |
6 | ナワシロイチゴ | 苗代苺 | バラ | |
7 | ヌマトラノオ | 沼虎の尾 | サクラソウ | |
8 |
◯ |
ハナムグラ | 花葎 | アカネ |
9 | ハハコグサ | 母子草 | キク | |
10 | ホオズキ | 酸漿 | ナス | |
11 | ◯ | ミゾコウジュ | 溝香需 | シソ |
12 | ヤブジラミ | 藪虱 | セリ |
2013.12.01 掲載
(2008年当時のレポートを基にweb版を作成しました)
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