3月23日 田島ヶ原 サクラソウ
田島ヶ原のシンボル、サクラソウ。 今回は時期が早過ぎたため、開花しているのはごく一部だけでした。 あと2週間もすると、一面に咲くはずです。
かわいい花です。 持ち帰りたくなる気持ちも想像できますが、絶対にしてはならないことです。 ここでは過去に数件、盗掘による逮捕者が出ています。 罰金も驚くほどの高額になることがあるようです。 盗掘はまったく割に合わない行為です。
田島ヶ原は、さいたま市の荒川河川敷にあります。 通い始めて今年(2008年)で4年目になります。 ここには古くからサクラソウが自生しており、約150万株が咲きます。 大正9年に国の特別天然記念物に指定されました。
野に咲くサクラソウを採集し、庭や鉢に植えるという習慣は江戸時代から始まったそうです。 もちろんその当時は「盗掘」とは言わなかったでしょうが... 全国規模で繰り返される「採集」で激減し、とうとう特別天然記念物に指定し強力に保護しなければ絶滅してしまう恐れがあったのです。 今から90年も前の話です。 しかし早期に手を打てたからこそ、なんとかこの地は守られ、今も存続しているのだと思います。
私たちには運がいい方なのか、花を見に行くとその地を見守る『トコロジスト』の方と出会えることが多いのです。 トコロジストは、言わばその土地の専門家。 貴重な話を聞くことができるのです。
日光は中禅寺湖の千手ヶ浜においては、クリンソウの群生を武器に環境保全を訴える、鈴木さん。 狭山丘陵においては、シュンランを始め森の植物を見守る老紳士。 野反湖においては、野反湖と周辺の山々のすべてを知り尽くし、自然観察の師匠であり友人でもある中村一雄さん。 そしてこの田島ヶ原においても、トコロジストの男性と出会えました。
お名前は聞きそびれてしまいましたが、ずっと田島ヶ原を見守っている方です。 市から委託された植物調査員でもあります。 毎回貴重な話をして下さいます。この日も到着後すぐに出会って会話を始めました。 もちろん偶然に出会ったのですが、この縁も不思議です。
田島ヶ原に自生するのは希少種を含め約250種。 間近まで市街地が迫る環境を考えると、奇跡的と言えます。 サクラソウにはまだ10日~2週間ほど早かったですが、その代わり男性のご案内で、多くの植物を見ることができました。
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ノウルシはサクラソウと同じくらい多く、目立ちます。 黄色から緑へのグラデーションが美しい。 サクラソウのために刈ってしまえと言う意見もあるそうですが、ノウルシがいるのでサクラソウも生きられる側面もあるそうです。 根はゴボウ状に真下に伸び、ヒゲ根を張るサクラソウとは競合しません。 環境省レッドリストでは準絶滅危惧(NT)に指定されています。 東京都と神奈川県では絶滅しました。
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ユリ科のアマナです。 小さな群生が数カ所にありました。 葉は線形で長さ15〜25cm、幅は0.5~1cmです。
他にホソバノアマナと教えていただいた花もありましたが、状態があまりよくなかったので掲載は見合わせます。
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ヒロハノアマナはもっと多くいました。アマナに似ています。 葉は長さ15〜20cmでアマナよりやや短く、幅0.7~1.5cmとアマナよりやや幅が広い。 葉の色は暗紫緑色で中央に白色の広い線があるのが特徴。 曇っていたため花を閉じてしまっていました。
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右はジイソブ(ツルニンジン)の葉だよと教わった気がするのですが... そして以前ここでジイソブを見たこともあるのですが.... 聞き間違えだったかも? なぜって、この葉が成長するとジイソブになるような気がしません...ではなんだるうか?
2012.04.19 掲載
おじさんぽ (水曜日, 16 1月 2019 22:52)
ジイソブでなくバアソブですね。