2月11日 早春の狭山丘陵
「冬ごもり」が長かったので、森の中を歩きたくなりました。 かと言って遠出する気にもなれず、花さんぽ2007-06号で紹介した、狭山丘陵をブラついてみました。 もちろん、まだ花なんて咲いているはずもありません。 シュンランの葉でも確認できれば十分です。
目的地の丘陵に入るとすぐ、人の声が聞こえます。 見ると山道からやや外れた林の中に、男性が2人しゃがみこんでいます。 長靴を履き、手には剪定バサミが! シュンランの盗掘か?! Hiroが思わず、『盗っちゃダメですよ!』と声をあげた。 その声で顔を上げた初老の男性のお顔を見たとたん、あーこの人は善人、と一瞬でわかりました。 そして『この人達はシュンランを保護しているんだ』と悟りました。
初老の男性と、40歳台前半に見える男性。 初老の男性は近所にお住まいの地元の方で、とても穏やかな感じの紳士でした。 お連れの男性と共に、シュンランに絡み付くツタや侵入するササを刈り、盗掘の被害に遭わぬよう落ち葉で隠す、という作業をされていたのです。 お二人ともボランティアでの活動で、頭が下がります。 このような方たちの努力で、僅かに残された里山が維持されているのだと思いました。
私たちも「花は盗らずに撮るだけ」であるとすぐ理解していただけ、いろいろお話を伺い、また狭山丘陵の植物に関する貴重な情報も教えていただきました。花さんぽをしていると、よくこうした出会いがあります。 地元の方たちとのコミュニケーションは、大切にしていきたいと思っています。
紳士が、「これはタマノカンアオイ (多摩の寒葵)」と
教えてくれました。 花を見易くするため、少し葉をよ
けてくれました。 名前に「多摩」を冠する花は、この花
ただ1種だそうです。 葉の基部は深い心形で、カンアオ
イより葉が細長く、斑があります。 しかし...。
しかし、タマノカンアオイの花とは色と形が違う
ように見えました。 タマノカンアオイは花が暗紫
色で、萼片がもっと波打つ感じになると思います。
シュンランの葉はユリ科のヤブランの葉と似ています。
2012.04.19 掲載