10月18日 雪国植物園 p.1/2
いつかセンブリを見たい! と思っていましたが、新潟県は長岡市にある雪国植物園に咲いているとの情報を得たので、見に行く事にしました。 同じ新潟県の新発田市には義弟一家がいて、新潟の花散策では何度もお世話になっていますが、今回も遊びに行く事にしたのです。 新潟には関越自動車道1本で行けますが、家の近所の花さんぽと同じようには行きません。 散策の時間を確保するため、前夜に高速のSAで車中泊し、開園時間の少し後に現地に着くことができました。
園内に入ると、山歩きの出立ちで、腕章を付けた初老の男性が話しかけて来ました。 ボランティアで、園内のガイドをしているとのこと。 花散策は、現地の方の案内があるとないとでは、出逢える花の種類に大きな差が出ます。 今日はツイてます。 ぜひお願いします!と案内を乞いました。
「どちらから来られたのですか?」 「東京の小平市です。 センブリが咲いているとホームページで知って...見に来ました」 「それは遠くから、ご苦労様です。わざわざ見に来ていただき、ありがとうございます」 新潟には花を見に何度も訪れていますが、地元の方に「見に来てくれてありがとう」と言われることが多いのです。 こちらとしては、花が咲く環境を守ってくれてありがとうございます、という気持ちなのですが、逆に感謝されてしまうのです。
さて、ガイドの方の案内で簡単にセンブリに出逢えました。 高さは20cmほど。葉は長さ4cmほどでとても細い。 花冠は白く、薄い筋が入ります。 中心部から生える細く白い毛が合弁花で5深裂しますが、ここでは4深裂の花も多く、株によってはすべての花が4深裂と見えるものもありました。
全体の印象としては、小さく清楚な感じがし、とてもかわいい花です。 健胃薬として知られます。 非常に苦みが強く、「千回振り出して(煎じて)も苦い!」からこの名になったとか。 多くの苦み成分を含みますが、その中でもアマロゲンチンという成分は、自然界で得られる最強苦み成分の一つだそうです。 ちょっと葉をかじってみようか? いえいえ、ここではやめときましょう。
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ミゾソバは前号で紹介しているので、詳細は割愛します。 湿地に群生していました。 残念ながら、まだほとんどがツボミの状態でした。 ただ、ここの花はとても色が濃いです。 色の変異は、地域により環境が違うからでしょうか?
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ママコノシリヌグイはミゾソバに似ていますが、葉の形で識別できます。 ミゾソバの葉は互生し、基部が耳状に張り出しますが、ママコノシリヌグイの葉は対生し、葉は三角形です。
茎、葉柄、葉に鋭いトゲがあります。触るととても痛いです。 たとえ話なのでしょうが、この草で継子の尻を拭いていじめたということなのでしょうか?
命名者はある意味スゴイ発想の持ち主だったと思います。 鋭いトゲの多い植物を見て、どうしてそんな名前を思いついたのか。 継子は継母にいじめられるもの、という社会通念がとても強かった時代だったのでしょうか。
こんなかわいい花には、ちょっとかわいそう過ぎるネーミングですね。
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タマバシロヨメナを見た時はゴマナだと思い、2〜3枚しか写真を撮りませんでした。 その後もろくに調べもせず「ゴマナ」としてしまっていました。
しかし改めて見ると、花弁がやや反り返った様子や、葉の形が違うことに気付きました。 調べ直して、本種とわかりました。 シロヨメナの変種で、葉が卵状に幅が広 いのでこの名がつきました。 葉の縁には粗い鋸歯があります。 山渓ハンディ図鑑「日本の野菊」(いがりまさし氏著)の分布図を見ると、北陸地方を中心に分布しており、この点でも合致するので間違いなさそうです。
初対面の花だったと後でわかり、もっと撮っておけばよかったと後悔。 見慣れた花だと思い込まずに、注意して観察しなくては!
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リンドウは、科・属・種の名前から見ても、リンドウの中のリンドウといえます。 日の当たる散策路脇に咲いていました。 5裂する花は、曇っていると開かないこともあります。 葉は対生し、無柄。 デジカメは青紫系統の色の再現が苦手なので、写真は実物と少し違う色になっているかも知れません。
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フジバカマは、秋の七草の一つです。 奈良時代に中国大陸からもたらされ帰化したと考えられているそうです。 自然の状態で咲いているものには、なかなか出逢えない花の一つ。 花期は過ぎてしまっていました。 葉は大きく3裂し、短いが葉柄があります。
ショウジョウバカマの葉を見つけました。 花は早春に咲くので、今はありません。 通り過ぎようとすると、ガイドさんが興味深い事を教えてくれました。 葉の先端部が地面に付くと、そこから不定芽(ふていが)が出るとおっしゃるのです。 植物の芽は普通は葉の脇から出るもので、それ以外の場所にできるものを不定芽といいます。
左上の写真は、やや傾斜した場所に生えた大株。 手前側が低いので、手前の大きな葉の先端が、地面に付いています。 その部分を拡大したのが、右上の写真です。矢印の部分は、大きな葉の先端にとても小さな葉がついています。 写真では見えないですが、地面に根も張っていました。 これが不定芽です。 ショウジョウバカマは種子で増える他に、不定芽によっても増えることができるのです。 これはすごい!
よく見ると、大株の周りには新しい小さな株が取り囲むように生えています。 これらは不定芽により殖えたものと思われます。 ショウジョウバカマは今までもたくさん見て来ましたが、知りませんでした。 もっと勉強しなきゃね〜。
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ナンブアザミは、雪国に多い多年草です。 大型で、人の背丈を超すほどにもなります。 頭花の直径は2.5〜3.0cmで、斜め下にうな垂れて、たくさんつけていました。 総苞外片は反転または開出します。 葉は披針状楕円形で長さ20〜30cm、先端は尖り、縁に短いが鋭い刺がありましたが、これは変異が大きいそうです。 名の由来は岩手地方(南部)に多く自生することから。
ノコンギク...と思うのですが、実はちょっと自信がありません。 この写真しか撮ってなく、拡大しても識別ポイントの冠毛が見えません。 しかし密に咲く様子と、花の間から垣間見えた葉の形から、ノコンギクとしちゃいました。