9月9日 秋の八ヶ岳山麓の花 1/3
パラグライダーで空を飛びたくて、八ヶ岳山麓の富士見高原スキー場のスクールに通ったことがあります。 雪の無い季節、ゲレンデがパラグライダーの練習場になるのです。 練習はとても楽しく、車の免許で言えば仮免許に相当するところまで順調に進みました。 ここまではゲレンデの斜面を、高させいぜい20m、飛行距離にして100〜200mほど滑空するだけです。
次のステップはいよいよ路上教習、いや高高度フライトでの練習になるのですが、パラグライダーの場合、ここからは自前の機体を用意する必要があるのです。 スクールの入門用の機体では、高高度の練習は困難だからです。 しかし、機体やキャノピー、ヘルメット、フライトスーツに高度計... 一式最低50万円ほどは必要です。 当時その費用を工面できる状況になかったので、一時断念したまま現在に至っています。 でも諦めたワケではなく、いつか再開し、大空を駆け巡ってみたいと思っています。
この富士見高原スキー場の第2リフトを下りたゲレンデと反対側に、とても広いが知名度の低いと思われる自然公園があります。 なぜそう思うかというと、いつ行っても極端に人が少ないからです。 しかしここは山野草がたくさん自生する場所でもあるのです。 この公園で初めて出会えた花も多いのです。 カイジンドウとかね。
前置きが長くなりましたが、初秋のある日、花たちに出会いに中央道を飛ばしてこの公園にやって来たのです。 しかしなんと!工事で公園に至る道が閉鎖され、たどり着けません。 せっかく来たのに... やむなく他の場所を探し、八ヶ岳山麓を彷徨うこととなりました。 ところがそのお陰で、見た事がない貴重な花たちに出会うことができました。 その1つがヒメハッカでした。
ヒメハッカは漢字で姫薄荷と書きます。 小さなハッカという意味です。 シソ科ハッカ属。 富士見高原とは別のスキー場の近くにいました。 他の植物に埋もれそうになって、たった2株だけ咲いているのをHiroが発見しました。
感激の初対面。 今日は運がいい!
この個体は高さ15cmほど。 淡紅紫色の、小さなかわいい花でした。 日本固有種。 環境省レッドリストで準絶滅危惧(NT)に指定されています。 かつては熊本県などでも見られたそうですが、現在は北海道と本州の一部にわずかに生存しているのみとのこと。 全国の推計総個体数は1万個体(2007年)、年平均減少率は60%で、100年後の絶滅確率は、ほぼ100%とされています。 そうならないことを強く祈ります。
園芸品や人が植えたものではない、野生のキキョウに初めて出会えました。 たった1株だけ咲いていました。 今日は本当に運がいい! 通常5つに裂ける花弁が4つに避けています。 柱頭の先端も5つではなく4つに裂けています。 ちょっと変なキキョウでしたが、キキョウはキキョウ!
1970年頃まではいたる所に咲いていたらしいです。 園芸ブームによる乱獲と生息地のカヤ場の消滅で激減し、絶滅危惧ll類(Vulnerable)に指定されてしまいました。 全国で推計2万個体。 この花も100年後の絶滅確率は100%です。 ということは、もっと早い時期にこの世界からいなくなってしまう可能性大だということです。 そんなことにはならないでほしいと切に願います。
キキョウのページがあります。 よろしかったらご覧ください。
花さんぽ 2007-25-1