9月1日 初秋の野反湖 1/3
2007年の8月も終わろうとするある日、野反湖の友人・中村一雄さんからメールが届きました。 近況報告と写真が2枚、添付されていますた。 つい先日、私たちの見たことのないイワショウブの写真を送ってくれたばかりなので、「今日は何かな?」と期待しつつ見ると、1枚目はネジバナ。 但し普通のネジバナを一雄さんが送って来るハズはないのです。 ネジれていないネジバナでした。
そして2枚目は...? スクロールして画面に現れたその花は、なんと、アケボノソウだ~!! とても見たい花の一つ。 でも今までまったく出会えなかったのです。 そもそも野反湖にはアケボノソウはいないと思われていました。 一雄さんご自身、野反湖で初めて見つけたそうだし、昭和14年から平成6年まで野反湖の植物を調査された植物学者、増田公平さんのリストにも載っていない花なのです。 ネットで検索してもヒットしません。 しかし、実はいたのですね。 一雄さんの大発見です。 さすが、我が師匠。 その週末に私たちが野反湖に向かったのは、言うまでもありません。
星形に開いた花弁に緑紫色の小さい斑点と、黄緑色の丸い模様が2個あります。 白っぽい花弁は明け方の空に、斑点は星座に、黄緑は輝く星に見立ててこの名が付いたと言います。 なんという美しい花でしょうか。 造形の妙というか。 なんだか野反湖にピッタリ来る花です。
黄緑色の丸い模様は密腺で、虫が集まります。 他のセンブリ属も花弁に蜜腺がありますが、アケボノソウよりずっと花弁の基部付近に配置されています。 美しさという面では断トツにアケボノソウに軍配が上がりそうです。 花弁の間に入るように雄しべが配置され、虫たちが蜜を吸う時には、きっと花粉を体に付けることでしょう。
山地の湿ったところに生える2年草。 1年目は根生葉だけのロゼットで過ごします。 高さは50~80センチ。 風があるとゆらゆら揺れて撮影が難しいです。 花期は9~10月。 花は直径2センチほどです。
アケボノソウの花は通常は5深裂しますが、中には変わり者がいます。 アケボノソウの専用ページでは、深裂数の少ない・多い、アケボノソウの写真を紹介しています。 野反湖では最高8弁花が観察されました。 よろしかったら、ご覧ください。
花さんぽ 2007-24-1