5月19−20日(日) 早春の野反湖 (群馬県)
花シーズンが本格スタートした5月のある日。 野反湖に呼ばれた気がして、急遽向かうことにしました。 野反湖は私たちの花観察のホームフィールドですが、なぜかこの時期(5月後半)には行ったことがありません。 前日の金曜日に「明日、行こう!」と思い立ち、実行に移しました。
5月ですが、標高1500メートルを超える野反湖では、季節は早春です。
イワナシが見頃でした。 今までは早すぎて蕾だったり、逆に終わりかけていたりでした。 今回は元気いっぱいの姿を見ることができました。 早春の野反湖に相応しい、かわいい花です。 小雨が降りしきる天候ではありましたが、訪れた甲斐がありました。
散策路脇の崩れかけた斜面などで見ることが多いです。 野反湖西岸の散策路に多いですが、他の場所にもたくさんいます。今回の写真は東岸方面にあたる、八間山の北側登山道入口付近で撮影したものです。
ツツジ科イワナシ属の常緑小低木です。茎は赤褐色の粗い毛を持ち地上を這います。 葉は互生し、短い柄があります。 葉は卵形で先端は尖り、縁に褐色の粗い毛が疎らに生えます。
花は薄紅色で、この日は雨に濡れて、一際透明感がありました。 萼は深く5裂し、鐘形の花冠の長さは約1cmで、先端が5裂し広がります。
.
ナエバキスミレ 冷たい雨に濡れそぼつながらも
健気に咲いていました。 寒そうですが こんな
姿もいいものです。 八間山の登山道にて。
.
冷たい雨で花弁状の萼片を閉じてしまっていましたが、
雨の中で見るシラネアオイもまたよいものです。
野反峠から徒歩7分ほどの植栽地での撮影です。
なんとか萼片を開いている花を見つけました。
野反湖には自然種のシラネアオイもいます。
植栽地ほどには簡単に行けず、まだ遠目でしか
見たことがありません。 自然種は植栽された
ものとは色が違うとのことで、ぜひ間近で見て
みたいと思っています。
.
.
ユオウゴケは植物ではなく、菌類と藻類の共生体である、地衣類です。 特別珍しくはないかも知れませんが、八間山には、なかなか見ることはできないと思われる大きな群生地があります。
先端部の朱色の部分の形から連想したのか、「モンロー・リップ」などと呼ばれることもあるそうです。 この名前はインパクトがあるようで、人に教えると一回で覚えてもらえます。 よろしかったら、ユオウゴケのページもご覧ください。 →ユオウゴケのページへ
***************************
.
野反湖の自然を堪能し、帰路つきました。 国道405号で
下る途中で脇道に入ると、和光原という別荘地があります。
標高は1150m前後でしょうか。 2km近い直線ダートがあ
ったりします。 時間があったのでそのあたりをぶらついて
みたら、スミレの仲間が咲いていました。
.
***************************
.
話しは思いっきり前後してしまいますが、前日野反湖に向かう途中で、素晴らしい場所を見つけました。 野反湖に行く時は、いつも中之条町で買い物や休憩をしてから向かいます。 その中之条町で、偶然ヤマブキソウの群生地を見つけました。 斜面一面に咲き乱れ、見事なものでした。
しかし車道脇にあり、しかもこの道路は近々拡幅される計画があるようです。 残念ながら、この姿を見れるのもあとわずかかも知れません。 中之条町には、まだ他にも花スポットがあるようです。 機会があったら、探索してみようと思います。
出会えた花たち(五十音順)
No. | 和名 | 漢字表記 | 科名 | 観察場所 |
1 | アカフタチツボスミレ | 赤斑立坪菫 | スミレ | 和光原 |
2 | イワナシ | 岩梨 | ツツジ | 野反湖 |
3 | ニョイスミレ | 如意菫 | スミレ | 和光原 |
4 | サクラスミレ | 桜菫 | スミレ | 和光原 |
5 | ショウジョウバカマ | 猩々袴 | シュロソウ | 野反湖 |
6 | シラネアオイ | 白根葵 | キンポウゲ | 野反湖 |
7 | ナエバキスミレ | 苗場黄菫 | スミレ | 野反湖 |
8 | ヒトリシズカ | 一人静 | センリョウ | 暮坂峠 |
9 | ヒメイチゲ | 姫一華 | キンポウゲ | 野反湖 |
10 | フタバアオイ | 双葉葵 | ウマノスズクサ | 暮坂峠 |
11 | マムシグサ | 蝮草 | サトイモ | 中之条町 |
12 | ヤマブキソウ | 山吹草 | ケシ | 中之条町 |
13 | ユオウゴケ | 硫黄苔 | ハナゴケ(地衣類) | 野反湖 |
14 | ユキザサ | 雪笹 | キジカクシ | 中之条町 |
科名が黄色い文字となっている植物は、当サイトのAPG分類体系への移行で科名が変更になったものです。2013.10.11
2012.01.01 掲載
一秋 (金曜日, 10 7月 2020 23:02)
ウスバスミレ ⇒ ツボスミレ(ニョイスミレ)
Hiro (金曜日, 10 7月 2020 23:42)
一秋さま
ご指摘ありがとうございます。
ニョイスミレです。