ハナゴケ科(地衣類)
アカミゴケ
Cladonia pleurota (Florke) Schaer.
赤実苔 ハナゴケ科 ハナゴケ属
野反湖湖畔にある八間山(はちけんざん)の中腹に、このアカミゴケとユオウゴケが入り乱れて群生している場所があります。 登山道脇で、陽当りのよい場所です。 冬には雪に埋もれます。 本種はその場所意外ではほとんどお目にかかったことがありません。
全体が灰黄緑色をしています。 形がラッパのようにも、ワイングラスのようにも見えます(全身ザラザラですが)。 上部の盃状になった部分の縁に、小さな赤黒い点々があるのが見えるでしょうか。 これが「子器(しき)」と呼ばれるもので、中に胞子があります。
盃状の部分を支える、棒状の部分は上部ほど太くなっているように見えます。 この部分を「子柄」と言いますが、専門用語なのだと思います。 辞書で調べると「こがら」と読んで「子供の顔立ち」の意味とありますが、これは違うでしょう。 植物用語では花をつける小さな枝の部分を「花柄(かへい)」、葉身を茎や枝につないでいる細い柄の部分を「葉柄(ようへい)」というので、この場合は「子器」を支える部分なので「子柄」と書いて「しへい」と読むのかも知れません。 間違っていたらごめんなさい。 で、その子柄の部分の高さは1〜3cm位です。
群生している姿です。 すごい数です。 これでも全体の一部です。
赤く見えるのは、別項で紹介する、同じハナゴケ属のユオウゴケです。
その他の種も混じっていそうです。 もし蟻くらいの小ささになって
この密林を歩いたら、いったいどんな風景に見えるだろう? などと
考えてみたりします。
よく見ると、形状に個性があります。 この写真の手前の個体は
やや斜めになってしまっていますが、盃状の部分が他のもの
より深いように見えます。 根元にいるザラザラの塊は、彼らの
一部なのでしょうか? あるいは別の種なのかも知れません。
2010.12.31 掲載
ユオウゴケ
Cladonia theiophila
硫黄苔 ハナゴケ科 ハナゴケ属
群馬県の野反湖にある、八間山(はちけんざん)の登山道脇の群生地です。 アカミゴケと混生しています。 およそ半々位でしょうか。 ユオウゴケはけっこうあちらこちらで目にしますが、これほど多くいる場所は他に知りません。 温泉地や火山地帯などの硫黄分が多い場所に分布する、とされますが、野反湖の周辺の山ではイオウがむき出しになっていたり、イオウ臭がする場所はありません。 しかし西南西13kmのところに火山の草津白根山があり、火山地帯の一部と言えるのかも知れません。
これだけまとまっていると、なかなか壮観です。...と言いたいですが、壮観さ?を味わうにはかなり顔を近づけて見なければなりません。 かなり小さいので、注意しないと群生すら見逃してしまうでしょう。
朱色の部分は、子器(しき)といい、胞子が入っています。
地衣類には珍しい、なかなかきれいな色だと思います。
この朱色の子器を、「モンローリップ」と呼んだ人がいます。 マリリン・モンローが聞いたら、きっと喜ばなかったでしょう。 ところで、なぜイオウゴケではなくユオウゴケなのか? イオウゴケでも正しいのですが、ここではユオウゴケとしました。 その理由は二つあり、一つは野反湖の友人がユオウゴケと呼んでいたから。 もう一つは、ここで説明するより外部リンクのお力を拝借させていただきたいと思います。 興味がある方はこの外部サイト「ユオウゴケの和名について」をご覧下さい。
ユオウゴケの構造は子嚢菌が作るものですが、スポンジ状の構造になっているそうです。 もしユオウゴケを見つけたら、そっと触ってみてください。 晴れた日だったら、見た目通り、カチカチに固いです。 力を入れるときっとポキっと折れてしまうでしょうから、そうならないようにお気をつけ下さい。 雨の日だったら? 意外にも、プニョプニョに柔らかくなっているのですよ! 上から軽く押すとクニョッとたわむのです。 見た目はまったく変化がないので、すごく意外な印象を受けました。
2010.12.31 掲載
他の掲載ページ
花さんぽ
yamabak (木曜日, 28 6月 2012 17:07)
見させて頂きました。
蟻になって歩いたら、どこかSFの国ですね。
hanasanpo (木曜日, 28 6月 2012 21:26)
そうですね~ 風の谷のナウシカの腐界の森のようであるかも知れませんね!