アカサシガメ
赤刺亀虫 サシガメ科
Cydnocoris russatus
長野県にツメレンゲを観察に行った際に、花にいた赤い虫を
見つけました。 赤に朱色を混ぜたような美しい色でした。初
めて見る種類で、後で調べても、いったいどんな昆虫の仲間な
のかもわかりません。 そこで、昆虫専門の画像掲示板でお尋
ねしたところ、本種であることがわかりました。
多くのカメムシの仲間が草食性なのに対して、サシガメ科は
捕食性なのだそうです。 長く鋭い針状の口吻を持っていて、
小昆虫に突き刺してその体液を吸うのです。 上の写真では、
頭の先の突起状の口吻が顎の下に折り畳まれているのが見えま
す。 口吻を伸ばした状態は見ることができませんでしたが、
他の昆虫を捕食するときには前方に突き出されるのでしょう。
体長は14~16mmで、扁平な体です。 脚は付け根である
は赤く、そこから先は黒褐色です。 腹部には5列(4列かな
?)の暗灰色の部分があり、そこには細かな毛が密生している
ようです。
半翅目は、前翅の根元は硬い革質となり、その先が柔らかな
膜質となります。ここから半翅目の名が付けられました。本種
の前翅膜質部は褐色で、折りたたむと楕円形に見えます。頭部
は円筒状で、複眼が突出します。長い触角は3節からなります。
花に降りる瞬間です。 シャッタースピードが遅く
(1/160秒)、動きを止められませんでした。
2011.11.01 掲載
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ヨコヅナサシガメ
横綱刺亀虫 サシガメ科
Nezara viridula Linnaeus
群馬県邑楽郡の多々良沼。そのほとりに植えられたソメイヨシノの古木にいました。虫がたくさん集まっている状態はあまり得意ではないので、鳥肌が立つのを感じながらの撮影です。体長20mm程度の黒っぽくテカテカした昆虫。体の横に白い縞模様があり、背中には赤い模様も見えます。こんなの見たことない。なんだか毒々しい姿なので、直感的に外来種では?と思いました。
帰宅して本で調べたらすぐにわかりました。サシガメ科のヨコヅナサシガメ。中国〜東南アジアを原産とする、帰化種です。昭和の初期に、荷物に紛れてそれらの国から九州に上陸したそうです。その後徐々に生息域を拡大させ、1990年代には関東地方でも見られるようになったそうです。
トリミングし拡大したので写りが悪くなってしまいました。動きは緩慢でした。草木の汁を吸うカメムシと異なり、他の昆虫を捕らえて、鋭い吻(ふん)をブシっと突き刺しその体液を吸う、肉食昆虫です。 木の上を這い回り、毛虫やハエなど他の昆虫を餌食にします。ネットで検索したらたくさんヒットしたので、関東地方以南では珍しい虫ではないようです。
下のビデオは上の写真の撮影時のものです。 写真と同じような内容なので、わざわざご覧にならなくてもよいと思います。
このページを書き終えて、何気なく昔のアルバムを見ていたら、なんとヨコヅナサシガメを写していました。 下の写真です。 撮影日は2003年5月28日でした。 場所は不明ですが、おそらくここ小平市の自宅近辺と思われます。 当時は名前がわからず、ずっと放置されていた写真です。 背の赤い模様がありませんが、本種に間違いないと思います。 他の写真よりは見やすいので目次のアイコンに使いました。
本種にとてもよく似た昆虫にシマサシガメがいますが、シマサシガメは脚も白黒の縞模様であることで区別できるようです。
2011.01.07 掲載
itotonbosan (水曜日, 11 12月 2013 09:21)
サイトをあちこち探しているうちにたどり着きました。
名前が分かり嬉しいです。
アカサシガメの記事と写真
ありがとうございます。
ヨコヅナサシガメの私のブログ記事を見て下さい。
hanasanpo (水曜日, 11 12月 2013 21:51)
itotonbosanさん、いらっしゃいませ。
ブログを拝見しました。 美しい写真とともに、大変詳しく観察された記事は、素晴らしいですね。 脱皮したばかりのヨコヅナサシガメがあんなに赤いとは! 抜け殻の白い糸状のものの正体も初めて知りました。 大変勉強になりました。 これからもよろしくお願いします。