シロチョウ科
クモマツマキチョウ
Anthocharis cardamines
雲間褄黄蝶
アゲハチョウ上科 シロチョウ科 シロチョウ亜科 クモマツマキチョウ属
準絶滅危惧 (NT)
穏やかに晴れて、時々雲にお日様が隠れるような天候。 暑くもなく寒くもなく、風も吹かず、新緑や山々が眩しく見えます。 この日は最高の花さんぽ日和でした。
標高1500mを超える林道を歩いていて偶然出会った3人連れのチョウ愛好家の方に、教えていただきました。 このチョウを見ることを目的に訪れられたそうで、なんと昨日も訪れたとのこと。 すごい情熱です。 いろいろお話を伺っていると、運良くお目当てのチョウが現れ近くの草にとまりました。 みなさん一斉にカメラを構えて狙います。 私も慌ててレンズを向けました。 陽が差さないと翅を開いてくれないないそうですが、しばらく待つと雲間から陽が差してきました。 そうすると、ゆっくりと翅を開いてくれたのです。
なんじゃあ、こりゃ〜! と叫びそうでした。 なんという美しい色をしているのでしょう! 前翅の先半分ほどが、やや黄色がかったみかん色というか。こんな色の蝶は見たことない!
標高が高いところにしかいない、希少な高山蝶だ
そうです。 後で調べたら長野県の天然記念物に指
定されていました。 もちろん採集は厳禁です。
陽が陰ると、じっと動かなくなります。 真後ろに周るとわずかに開いた翅の間からみかん色が見えたので撮影しました。 ネットを見ると、このチョウは愛好家の間で人気のようです。 「クモツキ」という愛称で親しまれているようでした。
このチョウを目的に訪れたお三方に遠慮して一歩下がって見ていたのですが、「もっと近くで見たら?」と言ってくれたので、お言葉に甘えてそっと近づいて、よく見てみます。
なんじゃ、こりゃあ! とまた叫びそうでした。 翅の裏は裏で、なんという素晴らしい模様をしているのでしょうか! 見てください、これ。 唐草模様というか。 こんな模様は見たことがない!
「このチョウは追いかけたくなりますね。 私たちはチョウの愛好家ではありませんが、気持ちはよくわかります」と思ったことを言ったら、「わかってもらえて嬉しいです」と嬉しそうな顔をされました。
目的は花とチョウの違いはありますが、この方たちは私たちと同類、という言い方がよくなければ、仲間、と感じました。
ミヤマハタザオで吸蜜中です。ハタザオの
仲間の植物が、幼虫の食草なのだそうです。
翅の裏面の模様にも魅了されました。
「クモツキ」の顔。 けっこう毛深いですね。 寒さ対策?
花の他にもこんな素晴らしいチョウを見ることができて、本当に運がよかったです。 通りすがりの私たちに丁寧に教えて下さった3人のチョウ愛好家のみなさまに感謝です。 どうもありがとうござました。
2012.05.30 掲載
牧野貧太郎 (水曜日, 19 11月 2014 09:36)
コメントが無いのは余程の貴種の裏返しですね。
迷彩色の模様、自然の造形美、言う事なし!!
高所に生息するのでしょう、爬虫類に似て、太陽光線からエネルギーを
もらうため、光が射すと翅を開くと推察出来ます。
ほとんどの蝶は翅を閉じて、止まります、例外も多いですが。
触角の違いで蝶と蛾を分けますが、これも例外が多く、愛蝶家の悩ましい
所です。
hanasanpo (水曜日, 19 11月 2014 21:06)
貧太郎さん、ありがとうございます。
このチョウを見ることができたのは、偶然出会ったチョウ愛好家の方々のお陰でした。
なかなか見つけることができず苦労されていたようですが、楽しんでもおられました。 まだ見ぬ花を探し求めて歩きまわる私たちと似ているので、親近感を抱きましたよ。