. 4月17日(日) 下総の美しい里山
本日はチーバへ遠征です。
昨年、当ホームページのクマガイソウのページを見て下さった
Sさんより、メールを頂きました。
千葉県某市でクマガイソウの保護活動をされているそうです。
また、ここのクマガイソウの遺伝子を解析したのは、
私たちの花友さんの研究者でありました。
花の開花に合わせていらっしゃいませんか? と誘ってくださいました。
開催される観察会に参加できそうであったので、
今回は楽しみにお出かけです。
我が家から真東の方向に位置する、とある里山。
都心を横断して向かいます。
二人とも初めて訪れます。
とても美しく清々しい里山が残されております。
近所なら毎日散歩したい気分です。
観察会参加者は、20人くらいはいらっしゃいました。
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ウワミズザクラが満開でお出迎えしてくれました。
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緑地の中に入っていきます。
ウラシマソウがわんさか生えて、いくつか花が咲いている。
ジュウニヒトエもたくさん・・
ジュウニキランソウと思える株もあった。
ジロウボウエンゴサクもびっしり~ すごい数だ。
Sさんらが、それぞれの植物の解説をしてくれました。
参加者の皆さんは熱心に聞いておられましたが、
花花モードになった私は、ちょっとだけ単独行動してました。
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いよいよクマガイソウ!
最初に見せてくれた場所は十数株あったにもかかわらず、
たった1株のみになってしまったそうだ。
急激に減少した原因は・・盗掘以外考えられないそうです。
盗掘には本当にうんざりだ・・
長く多くの人を楽しんでもらうために、
そっと見守ることはできないのか!
自分の庭や植木鉢に植えて、いつまで咲かせられるってんだあー。
そして更に奥に進んでいくと、とても良く整備された竹林の中に
クマガイソウが群生していた!
ここのクマガイソウは、植栽ではありません。
2012年頃、竹藪の中に花をつけていない小さな葉が観察されたそうです。
民有地であったため、まず地主さんを探すことから始まり、
3年かけてようやく地主さんが特定できたそうです。
しかし始めはなかなか理解が得られず、何度も交渉して
ようやく竹藪の手入れが許可されたとのこと。
ボランティアの皆さんで竹藪を手入れし続け、竹藪から
竹林と呼ぶにふさわしい状態になってきた3年後に
7輪が初の開花をしたそうです。
その後も竹林の手入れを続け、クマガイソウは増えていったそうです。
開花数は2018年:30、2019年:49、2020年:78、2021年:150
そして今年2022年は200株の開花を予想していたところ、
なんとドンピシャリ当たって200株が開花したそうです。
全国には、ここよりもはるかに規模が大きい
クマガイソウの自生地があります。
中には、地上茎の数が2桁も多い場所もあります。
しかしそれら多くの自生地と比較して、
ここのクマガイソウには、抜きん出て素晴らしいことがあります。
それは遺伝子の多様性です。
福島大学(現)の山下由美先生の遺伝子解析の結果、
ここのクマガイソウは G/N=1.00であるとわかりました。
ここでG:ジェネット数(遺伝子のタイプ種)、N:検体数(36)です。
G/Nが1に近いほど多様性に富んでいることになります。
ここのクマガイソウは調査した36検体すべてが異なる遺伝子を
持っており、株分けで増やしたものではなく、
別々の種子から育ったものとわかりました。
比較のための例として、福島市のある自生地は地上茎約3万株、
開花数約5千という大規模なものですが、
G/N=0.60で、多様性に富んでいるとは言えません(N=30)。
いわき市の保全地では地上茎約3万5千、開花数約3万 では、
G/N=0.16で、多様性が低いといえます(N=30)。
遺伝子の多様性という面から見ると、ここはおそらく日本一です!
花の構造の説明を突然Sさんから振られて、相方は少し慌てていました。
なんとか説明できたようですが、いきなり合萼片やら走光性の話をして、
果たして参加者の方々に理解されたのかどうか?
どうかここを守って、次の世代に繋げて欲しいものです。
(課題は山のようにあると思いますが)
小学生の課外授業に、地元の森の大切さを教えて頂きたい。
久し振りの遠征。 楽しい観察会でした。
森のたけのこを購入させていただきました。
チーバの美味しいものやら、新鮮野菜など買っていきたかったのだけれど・・
中途半端な時間だったので、断念して帰路に。
貴重な自生地をご紹介くださり、本当にありがとうございました。
どうかこの森が維持して行けますようにと願います。