野山に自然に咲く花のページ
森の中のふかふかの落ち葉とコケの中に咲く姿を見つけたときは、声も出ませんでした。 深山と呼ぶにふさわしい場所で、初めて見ることができました。
いつクマが出てきてもおかしくはない場所です。 日本猿やタヌキもいました。森の中で輝くホテイランは、日本の野生ランの中でも、飛び抜けて美しいランだと思います。
花の大先輩のＭさんは、『コマクサが「高山植物の女王」と呼ばれているようなので、 ホテイランを 「亜高山帯の貴婦人」と名づけたい』とホームページの中でおっしゃっています。 まさにその通り、高貴ささえ、感じる花です。
でも、貴婦人もいろいろな表情を見せてくれるようです。
唇弁の形が布袋様のお腹に似ていることが、名の由来です。
しかしあまりそのようには見えないな〜（と自分の布袋様の
ような腹をさすりながら思います）。
真上から見るとこんな感じです。
貴婦人の横顔です。 花茎が曲がり始める
部分にツンと立っているのは「苞」です。
特徴的な葉です。 やや青みがかった緑色で、脈が強く浮きだします。 葉脈は5脈あるはずですがこの写真ではよくわかりません。 2つの脈が強く浮き出している様子はわかります。 葉の縁や表面に縮れがあります。 葉は1株に1つづつ、つきます。 葉の長さは3〜5cmです。 裏面は紫色がかります。
翌日探索した、別の場所です。 前日とは打って変わって登山客などの
密度が高いです。 しかしホテイランの数もずっと多い場所でした。
お洒落な帽子をちょっと斜(はす)に構えた感じの貴婦人です。
後ろ姿は前面からと違い、しおらしい感じです。
本当になんとも言えない良い色です。 花の奥にある茶色の模様は、個体毎にすべて異なります。 下の写真や一番上の写真とも比べてみて下さい。 一見同じように見えますが、実はそれぞれの花に豊かな個性があり、一つとして同じ花はいません。
花の後ろに美しいピンク色の6片があります。 花から少し離れ、花茎が曲がるあたりにツンと伸びているのが苞です（横顔の写真でよくわかります）。 花につく5片のうち、中央の3片が萼片で、両脇の2片が側花弁です。 花の下側、丸く広がった、かすかにピンク色が入った白い部分は、花弁状になった「ずい柱」です。 唇弁の中央は盛り上がり房毛が生えています。 唇弁の先端は長く突き出て先が2裂し、距状（中が空洞）です。
絶滅が危惧されている種です。 恐ろしく数が少なく、稀にしかいません。 とても美しい花なので、多くの人に見て頂きたいですが... 山野の花を「採取」する方、運良く見ることができても、「絶対に」持っていかないで下さいね。 ここでしか生きられないから、ここにしかいないのです。本当に、お願いします。
ホテイラン
本州中部の、限定された地域の針葉樹林帯に極めて稀に生える多年草。 花茎は高さ10〜15cm。 萼片、側花弁は線状披針形で開出し、長さ2〜3cm、花弁は長さ2.5〜3.5cm。
2011.01.06 掲載
かのん (木曜日, 06 1月 2011 20:41)
わー！すご～い！
こんな花があるのですね。
カタクリとアツモリソウとナンバンギセルを足して３で割ったみたい！！
今年も色々勉強させてくださいね。
hanasanpo (木曜日, 06 1月 2011 22:18)
かのんさん
ホテイランは間違いなく昨年見ることができた花のトップ10に入る花だと思っています。そして、ぜひまた見たい花でもあります。 今年もよろしくお願いします！
タカサン (土曜日, 27 3月 2021 22:46)
ほていらんは、直に見たことは無い私にとって幻の花です。ありがとうございます。
Ken (日曜日, 28 3月 2021 06:19)
タカサンさん、ホテイランの咲く場所は限定されていますが、きつい登山をしなくても見られる場所は何箇所もありますので、ネットで検索するなどしてぜひ直接見てみて下さい。