山地の樹林下に生える多年草です。茎の高さは図鑑
では5〜30cmとありますが、出会えた個体はせいぜい
15cmほどでした。茎の中ほどに2個の葉を対生状につ
けますが、実は上下の間隔が狭い互生です。葉は卵状
の三角形で、縁がやや波打ちます。
茎は葉から上がやや細く、白っぽい短毛が生えてい
ます。葉の下側とは異なるので、花茎であると考えて
よいと思います。
フタバラン属の中では最も早く、春先のまだ寒い頃
から、小さな花を数個咲咲かせます。花期は3〜5月と
されています。
面白いんです、花の形が! 下側から見ていきますと、大きく2裂して逆Y字になっているのが唇弁です。 よく見ると先端がさらに小さく2裂しているのがわかります(個体により裂けていなかったりします)。
唇弁の基部には左右に小さな突起があり、柱頭を抱えるようになっています。 まるで両腕を頭の上で突き出して、プールに飛び込むときの体勢のようです! 側花弁や背萼片が蕊柱・柱頭を囲むようになるランは多くいますが、唇弁の一部がそのようになるランは初めての気がします。 親戚のミヤマフタバランにも唇弁基部に耳状の突起がありますが、左右に開き柱頭を抱えるようにはなりません。 唇弁の中央にはT字状の隆起部があります。
萼片と側花弁は細く短く、反り返って立っています。 髪の毛が逆立っちゃっているような。 なんだか楽しいランですね。 トップ写真の個体は緑色が強いですが、上の写真の花は紫色が濃いです。 別名のムラサキフタバランは、ここから来ているのでしょう。
踊っているようにも見えます。 一度そんな
風に見えてしまうと、どうしてもそう見えます。
花はとても小さいく目立ちません。 葉を目印に探します。
もう子房が膨らんでいますね。 花柄には明確にねじれが見られるので、ヒメフタバランは花柄(や子房)が180°ねじれて唇弁を下側につける「標準タイプ」のランです。 仲間のアオフタバランやミヤマフタバランは明確に観察できなかったのですが、もしかすると本種と同じなのかも知れません。
和名の漢字表記はネット上の多くのサイトで「姫双葉蘭」とされていましたが、愛読書?の山と渓谷社「山渓ハンディ図鑑8 山に咲く花」に従い「姫二葉蘭」としました。どちらも正しいと思います。
2012.12.15 掲載